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サンクコストの概念を知らない立命館大学・大島堅一教授

 立命館大学国際関係学部の大島堅一教授が Yahoo 個人に「原発は高かった~実績でみた原発のコスト〜」との記事を書いています。

 経済学博士の肩書きを有しているようですが、サンクコスト(埋没費用)の概念が抜け落ちた主張になっています。誤った計算方法で採算性を疑問視する手法はデマと同じであることを知る必要があります。

 

 大島堅一教授が「原発は高い」と主張する根拠は “実績コスト” と呼ばれるもの。大島教授が主要するコストは下表のとおりです。

表1:大島堅一教授が主張する主要電源の実績コスト
原子力火力水力
発電コスト 8.5円 9.9円 3.86円
政策コスト 1.7円 0.0円 0.05円
事故コスト 2.9円
総コスト 13.1円 9.9円 3.91円

 結果だけを見れば、「原発が高い」という印象を受けるでしょう。しかし、算出方法がまず意図的なものになっていますし、サンクコスト(埋没費用)の概念も抜け落ちた内容となっています

 また、大島教授が勤務する立命館大学は関西電力の管轄下ですが、関電が発表している発電コストや政策コストとは大きな差異が生じていることも見落とすことはできません。

 

画像:関西電力が公表している各電源の経済コスト

 大島教授が「4円を切る」と主張する水力発電のコストは11円。火力発電も最安値である石炭火力が12円、LNG火力は13円台、石油火力に至っては 30〜43 円となっています。

 もし、大島教授が算出したコストが正しいのであれば、電力各社の経営陣を背任行為で株主訴訟を起こすべきでしょう。なぜなら、電力コストの安い電源を利用せず、会社に損害を与えたということになるからです。

 しかし、そうした動きは皆無です。そのことからも、大島教授が訴える主張内容には疑惑の目が向けられるべきでしょう。

 

 『事故コスト』を項目として扱うのであれば、原子力発電以外の発電手法においても『事故コスト』と入れなければなりません。

 黒部ダムは建設時に171名が殉職していますが、「水力発電の事故コストはゼロ」とでも主張するのでしょうか。「ダムが決壊すること」や「ダム決壊を防ぐために放流したため、下流域で堤防が決壊すること」は水力発電における『事故コスト』として含めなければならないことなのです。

 ただ、採算性を論じる上では過去に起きたことは計算から除外する必要があります。

 これはサンクコスト(埋没費用)の基本的な考え方なのですが、立命館大学の大島教授は知らないようです。

 

 所有するプリウスなどのハイブリッド車の採算性を求める際に「購入時の価格」を計算に入れるでしょうか。計算するのは「燃費」であり、「車両維持に要する費用」であるはずです。

 しかし、大島教授は「プリウスの購入価格がガソリン車と比べて高かった」、「しかも、バッテリー交換の費用も計上している」と主張しているのです。どれだけピントのずれた主張内容であるかは明らかでしょう。

 バッテリーが交換済で、車検も合格したプリウスを所有しているのであれば、日常的に使用することは採算性の観点から見ても正しいことです。

 『事故コスト』はプリウスだけで起きることではありません。一般のガソリン車でも、軽自動車でも起きることです。プリウスだけ『事故コスト』を計上することはコスト算出方法として不適切と言えるでしょう。

 

 13円と大島教授が計算した原子力発電のコストが高いというのであれば、FITが設けられている太陽光発電を始めとする再生可能エネルギーの割高すぎるコストも槍玉にあげるべきです。

 「コストは自分で負担するのが資本主義のルール」と述べる前に、法令に基づかず原発の運転を停止させている反原発派の姿勢をまずは糾弾しなければなりません。意図的に原発を悪者にしようとしても、不都合な真実が出てくるだけであることを大学教授様は学ぶ必要があるのではないでしょうか。