「野菜工場」をパッケージ化して世界的な展開を視野に入れるべき

 NHKによりますと、日本企業がロシアとの経済協力の進展が期待される中で、「野菜工場」の建設を新たなビジネスとして展開しようと動いているとのことです。

 “露地物” との勝負では「野菜工場」は価格面では不利です。しかし、農業を行う際に気候や気象による影響を受けない利点を活かすことでビジネスチャンスはあると言えるでしょう。

 

 日本とロシアの経済協力の進展が期待される中、日本企業が冬場の寒さが厳しいロシアでも安定的に野菜を生産することができる「野菜工場」を建設し、新たな農業ビジネスを展開しようという動きが相次いでいます。

 「野菜工場」は、農業用ハウスの中で気温や湿度を人工的に制御することで天候や季節に左右されず、安定的に野菜の栽培や収穫を行う設備で、冬場の寒さが厳しいロシアでは建設のニーズが高まっています。

 

 ロシアのように冬場に氷点下になる国では「野菜工場」を建設するメリットはあるでしょう。なぜなら、そのような国のほとんどが農作物を輸入することに頼っているからです。

 両国間が常に友好関係にある保証はないため、国内でも生産能力を持つことはリスクマネージメント的にも意味があります。また、国内に新たな就職口ができることは政権にとってのプラス材料になりますので、「野菜工場」が進出することに否定的な姿勢を採る政府はほとんどないと言えるでしょう。

 

 この「野菜工場」ですが、ロシア以外の国や地域でも採算性に見合ったエリアはあります。特に、農業を行うことに適さない砂漠地帯などの過酷な国土を有する国にODAを使う形などで進出するだけの価値はあるでしょう。

 例えば、次のような施設を “パッケージ” として輸出するのです。

  • 発電施設:原子力発電所
  • 送電網
  • 淡水化工場
  • 上水道網
  • 野菜工場

 要は “インフラ・パッケージ” の中に「野菜工場」を組み込んで、途上国などに売り込むというプランです。

 原発で電力供給を行い、余剰電力は莫大は電気を必要とする淡水化工場に回し、飲料水を確保する。送電網や上水道の整備は “技術指導料” を電力会社や水道局を保有する地方自治体に支払うことで必要な人材を確保できるでしょう。

 

 電気と水道が安定的に確保できるのであれば、「野菜工場」を運用する際のハードルは大きく下がります。食糧難で『昆虫を食べるべき』と訴える国連よりも、「野菜工場」で野菜を育成し、現地に継続的な雇用を生み出す方が地元からを理解を得られると考えられます。

 ただ、ODAとなると政策的な色合いが強くなり、日本国内の政治情勢が足を引っ張るリスクが懸念されます。

 特に、運営コストで非常に優れた発電手法である原子力発電は “裕福な日本” という基準から論じる反原発派は国外輸出に断固反対の立場を採ることでしょう。しかし、世界屈指の産油国であるサウジアラビアやUAEが原発を求めていることが現状なのです。

 そうした国に広がっているビジネスチャンスを逃す方が大きな損失であり、国益を損なうリスクが高いことを知る必要があると言えるのではないでしょうか。