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利益供与をする記者がメディアへの信頼を損なう大きな原因の1つ

社会

 メディアにとって “情報の信頼性” はビジネスを行う上で非常に重要なことです。しかし、「便宜を図ってもらうことは難しいことはではない」というメッセージを世間に浸透させかねない事件が明るみに出ました。

 フジテレビの記者が接待の見返りに暴力団関係者に名義貸しを行っていたことが発覚したとNHKが報じています。

 

 暴力団関係者に利益供与していたのは、フジテレビの社会部に所属する30代の男性記者です。

 関係者によりますと、この記者は、知り合いの山口組系の暴力団関係者から高級車の購入について名義貸しを依頼され、それに応じたということで、購入された車は、別の山口組系の暴力団員が使用していたと見られるということです。

 (中略)

 記者は取材対象者からおととしの春ごろからおよそ1年間にわたって、都内の高級飲食店などで20回以上過剰な接待を受けていたということです。

 

 

 “反社会勢力” の当事者や関係者に取材することは問題ではありません。“反社会勢力” が関係する事件について取材活動することはマスコミに求められている役割の1つだからです。

 ところが、フジテレビの記者は『暴力団排除条例』が全国の都道府県すべてで施行された後、「過剰な接待を受けた見返りに自らの名義を貸す」という行動をしました。これが暴力団への利益供与に該当するとして、ニュースで報じられたのです。

 社会部として取材活動の最前線にいる記者が「知らなかった」という言い訳は通用しないでしょう。

 

 コンプライアンスを重視する企業の多くが「取引先からの接待を受けること」を禁止する内部通達を出し、研修という形で全従業員に周知する形を採っています。

 おそらく、フジテレビもそうしたコンプライアンス研修は行っていたはずです。しかし、暴力団に利益供与を行うという法令に違反する行為を社員が平然と行っていたのですから、内部的な見直しは避けられないと言えるでしょう。

 また、“利益供与や活動の助長する行為が禁じられた相手” からの接待を受け、平気でルールを破っていたことが明るみに出たことはメディア全体にとっても大きなマイナスです。

 「中立な視点で報道する」と宣言しているメディアがほとんどですが、接待によって利益供与を行う人物がマスコミ内部にいて、報道に携わっているのです。マスコミが発信する報道内容そのものの信憑性が疑われるに十分すぎる事件が発覚したと言えることでしょう。

 

 さて、今回はフジテレビの記者が暴力団への利益供与を行っていたと報じられましたが、氷山の一角である可能性は大いにあります。

 同業他社も「法令遵守に基づく取材活動が徹底できているか」を確認する必要はあるでしょう。日本での生活歴が短い帰国子女や外国籍の社員がいる場合は要注意です。“反社会勢力” に対する警戒心が薄いことが考えられるため、付け入られる隙が多いと考えられるからです。

 もし、「ヤクザに憧れた」などと発言をした経歴を持つ人物を雇用したり、取材をする側の人物に該当するマスコミ関係者として存在するのであれば、利益供与を行っていないかを確認した方が良いでしょう。

 万が一、利益供与の実態が明るみに出れば「フジテレビでの一件を受けても、対策を本格化させなかったマスコミ」として名指して批判され、フジテレビが現時点で被っている以上の損害を受けることが予想されるからです。

 

 「マスコミはスーツを着たヤクザみたいなもの」と外部から揶揄される事柄をメディア内部から出るようなことになれば、“開き直り” として火に油を注ぐことになるでしょう。

 最も有効な再発防止策は「規則を無視した人物に対し、事前に定められた罰則を厳格に適用すること」です。メディアの “信頼性” を揺るがす行為をしたメディア関係者に厳しい態度で臨むことは当然と言えるのではないでしょうか。