東京五輪は『選手肖像権』を担保に銀行等からの借入金で大会運営費を捻出すべき

 費用負担を自治体に押し付けようとして顰蹙を買っている東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長が念頭の挨拶で「説明責任を果たす年にして欲しい」と述べたとNHKが伝えています。

 ですが、費用が増加した理由の説明責任を果たす義務があるのは組織委員会です。また、身銭を切るだけでなく、借り入れを最大限行うなど責務を十分に果たしているとは言い難い状態です。

 

 2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が年頭のあいさつで、職員に対して「問題点を判断し、決断し、説明責任を果たす年にしてほしい」と求めました。

 (中略)

 注目されている大会にかかる費用の分担の本格的な議論が始まることについては、「各自治体の知事から組織委員会が負担するよう申し入れもあったが、できるだけ速やかに役割分担を決め、国民に納得してもらえる説明をする必要がある。判断し決断し、説明責任を果たす年にしてほしい」と伝えたことを明らかにしました。

 

 

 組織委員会がずさんな見通しで計画を立てていた事実は否定することはできません。「決定事項だから覆すことはできない」という後出しで開催自治体に負担を強いれば、反発を招いて当然と言えるでしょう。

 「それなら、当初の立候補プランに従って東京都内で開催すれば良い」と突っぱねられるリスクがあるからです。

 それを避けるためには大会組織委員会が所有する “資産” を担保に金融機関などから資金を調達する責任があります。そうしたことをすべて行った上で「政府や開催自治体に資金融資をお願いする立場」なのです。

 

 例えば、『オリンピック選手の肖像権』は資産と言えるでしょう。メディアは4年に1度のペースで取り上げますし、世界大会に “日本代表” としてJOCから派遣するのであれば、肖像権を組織側が持つ理由ができます。

 この選手肖像権を担保に金融機関から東京五輪の大会運営資金を捻出すれば良いのです。

 国民的に関心度の高いアスリートの写真・映像を利用する権利は高額となるでしょう。将来的にも利用価値の高いものですし、金利の低い時代に「旬のアスリートを利用できる権利」との引き換えを検討する金融機関も出てくることが予想されます。

 また、“選手自身の財産” である肖像権を差し出すことにより、競技団体(の上層部)が浪費的な無駄遣いを行いにくくなるため、資金を適切に使う傾向が強くなることも期待できます。

 

 「競技のためのレガシーが欲しい」と競技団体がメディアの前で繰り返し要望をしているのですから、競技団体が持つ唯一の資産とも言える『選手肖像権』を大会運営資金として差出せと要求することはできるでしょう。

 もし、「選手肖像権は出さないが、運営資金は出せ」という態度を崩さないなら、「自力でやれ」と突き放さなければなりません。

 アスリートファーストを述べるのであれば、アスリートや競技団体といった当事者がコストパフォーマンスと身の丈にあったプランを自ら企画・立案・実行す必要があることを再認識させる必要があるのではないでしょうか。