「相談役」や「顧問」による “院政経営” ができる現状は変えるべき

 NHKによりますと、相談役や顧問が経営陣に対する口出しを行っている実態が経産省の調査で明らかになったとのことです。

画像:NHKによる報道

 役割や責任が明確でない人物が企業経営に介入している実態が存在することは問題です。“院政” が可能である現状を防ぐため、会社法を改正することによって規制する必要があるでしょう。

 

 「相談役」や「顧問」を導入している企業は上場企業で70%以上にのぼり、そのうち35%が経営陣に対して指示や指導を行っていることが経済産業省の調査でわかりました。海外の投資家からは経営にどのような影響を及ぼしているか不透明だという指摘も出ていて、経済産業省は今後、制度の在り方を検討し提言をまとめる方針です。

 

 「相談役」や「顧問」はコンサルタントという位置づけになるため、企業がコンサルタント契約を締結すること自体は問題ではありません。

 ただ、会長職や社長職を退いた人物が「相談役」や「顧問」として、会社経営に介入することは問題と見なされるでしょう。なぜなら、会社の肩書きを使える立場にあり、表向きの代表権を持たない人物が “院政” を行っていることと同じだからです。

 

 経営に関するアドバイスが必要なのであれば、外部の企業と同じコンサルタント契約を「元社長」や「元会長」と締結すれば済む話です。

 そうすることで「社長時代の賃金が低いことに対する配慮」も十分にカバーできるでしょう。“有能な経営アドバイザー” と見なされるだけの能力があれば、相応の対価を得ることができます。

 逆に、学閥など社内政治が蔓延っている企業は “院政” によって経営や人事に大きな介入が行われる土壌が強くなります。これは経営陣を隠れ蓑にして、「相談役」や「顧問」が好き勝手できることを意味しており、企業が不祥事を起こす温床になる可能性があります。

 「昔から行われてきたこと」という釈明も通用しないでしょう。なぜなら、企業の資産を一部の「相談役」や「顧問」が抜き取っていることと同じになるからです。

 

 『企業の顔』としての活動を期待するなら、「アンバサダー」という役職でも十分なことです。経営の責任をあやふやにする形で「相談役」や「顧問」が存続できている制度を利用している企業が存在していることが問題なのです。

 過剰な介入ができる現状は企業全体に対する懸念を生み出す原因になります。そのため、企業価値を損なうリスクがあるため、会社法で代表権を持たない相談役や顧問が経営に介入した場合は罰則を設けるべきでしょう。

 経営に有益なアドバイスができる人材であるなら、外部から「経営コンサルタント」として堂々とアドバイスをすれば済むからです。

 

 それができない、もしくは回避している企業が多数存在しているのですから、良からぬことをしているのではないかと疑われる原因となるのではないでしょうか。