「韓国政府は日本大使館・領事館前に設置された慰安婦像を撤去する義務はない」という主張は謝り

 『慰安婦合意』が崩壊の危機に瀕しているとNHKの時論公論で出石解説委員が嘆いています。

 “落としどころ” はあるのかと述べていますが、合意事項について日本側が譲歩することは皆無です。韓国政府が合意内容を着実に履行することが責務であり、甘やかす必要性はないのです。

 

「慰安婦像はウィーン条約に該当しない」というロジックには無理がある

 日本政府の対応を批判する一部の人々が述べる主張は「慰安婦像の設置はウィーン条約に該当しない」というものでしょう。その根拠となっているのは条文には解釈の余地があるためです。

  • ウィーン条約22条2:接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。

 

 「安寧の妨害しているのか」、「威厳を侵害しているのか」という文言は解釈の “幅” が広いことは明らかです。そのため、『慰安婦合意』締結前であれば、「安寧の妨害はしていない、威厳を侵害していない」と主張できる状況にあったのです。

 しかし、『慰安婦合意』が締結されたことで前提条件そのものが変わったことに理解しなければなりません。

 

『慰安婦合意』で「慰安婦像はウィーン条約に抵触する」と韓国政府は認めた

 ウィーン条約の条文には “幅” があったのですが、『慰安婦合意』により、以図のように解釈が限定されることとなりました。

画像:慰安婦像はウィーン条約に抵触する

 「日本政府の言いがかり」という理由で批判する人もいますが、“言いがかり” に該当しないことは韓国政府が『慰安婦合意』で認めています

 日本が懸念を示していることを認知し、韓国が撤去に向けた努力することで合意に達した以上、慰安婦像を撤去する責務は韓国政府にあることは明確です。

 自らの責務を全く果たさず、「韓国が誠意を見せる番」と指摘されると逆ギレしている状況でメディアが韓国を擁護する姿勢を打ち出すことは逆効果と言えるでしょう。

 

国内憲法が優位であれ、条約が優位であれ、慰安婦像を撤去する義務は存在する

 法律論の分野では「国内憲法」と「国際条約」がどちらが優位にあるのかで政治プロセスが変わってきます。しかし、どちらが優位にあるにせよ、二国間で締結された『条約』が国内で効力を発揮させるための国内法を整備する必要があります。

 もし、国内法の整備を怠り続ければ、「そのような姿勢を採る国と条約を結ぶ意味はない」と判断され、孤立化を進めることになるでしょう。そのような姿勢に出ることができるのはドルという基軸通貨を持つアメリカだけに限定されるはずです。

 韓国が『慰安婦合意』を守らないのは韓国の国内問題であり、日本政府の責任は皆無です。解決に向けて努力をしていないことを見守ることは黙認することと同じです。

 韓国の横柄な振る舞いを見守る “心の余裕” は最早存在しません。『慰安婦合意』が崩壊の危機に瀕している理由は韓国側の原因なのです。この当たり前のことを指摘できない限り、まともな両国関係が構築されることはないと言えるのではないでしょうか。