WBC、注目は投手陣がメジャー公式球に適応しきれるかだろう

 新年が開けたことで、プロ野球選手が自主トレを開始したというスポーツニュースが増えてきています。

 今年は第4回WBCが行われるため、例年より調整を早める選手が出てくるでしょう。ただ、投手陣の出来によって大会での成績が大きく影響すると思われます。

 

 侍ジャパンがWBCで再び栄冠を勝ち取るには投手陣の出来に大きく左右されることになるでしょう。

 球数制限があるため、先発完投は非現実的です。そのため、継投のタイミングに加え、登板する投手が乱調だと試合の流れが一気に傾くリスクがあるからです。

 

 プロ野球で利用されている『ミズノ社製の統一球』と比較し、『ローリングス社製のメジャー公式球』は “縫い目が高く、滑りやすい” という違いがあります。

 この違いを上手く克服した「計算できる投手」がどのぐらい抱えているかによって戦い方に余裕が生まれるため、チームに与える影響は大きいと言えるでしょう。

 

 日本ハムファイターズの大谷選手を「投手」として起用するのか、「打者」として起用するのかで意見が分かれるでしょうが、大谷投手は『メジャー公式球』での実績が現時点ではないことに注意する必要があります。

 2015年に行われたプレミア12で使用されたのは『NPB統一球』でした。大谷投手が『NPB統一球』で圧倒的なパフォーマンスを残すことは明らかなのですが、『メジャー公式球』で投手として同様のパフォーマンスを残すかは不透明なのです。

 WBCが短期決戦であることを考慮すると、大谷投手が『メジャー公式球』の適応に苦しんだ場合は「投手」ではなく「打者」として起用することを決断することが小久保監督の責務となります。

 前回大会での田中将大投手のように最後までボールへの適応に苦しむ投手が出てくる前提を持っておかなければなりません。「選出した投手全員が問題なくボールに適応してくれれば、ラッキー」ぐらいの認識が不可欠です。

 

 また、『揉み砂』という落とし穴に注意することも必要になります。

 日本のプロ野球では『ミズノ社の揉み砂』を使われていますが、WBCではメジャーで使われている『デラウェア川の川砂』が使われます。ボールに泥として残りやすい『川砂』をどう扱うかも重要な要素となることでしょう。

 メジャーでも「嫌がらせか?」と言えるぐらい土色のボールが審判から渡されるケースがあります。おそらく、WBCでも同じことが起きると予想されます。

 その際に、わざとワンバンの投球を行い、ボール交換を要求する余裕もバッテリーには求められるでしょう。無理に勝負にいって一発を食らうリスクより、ボールカウントを1つ増やす方がマシを割り切ることができるかが鍵になるはずです。

 

 WBCは短期決戦ですから、調子の良い選手を上手く活かすことができるかが最大のポイントになります。「実力者の復調を待つこと」も大事ですが、それに費やすことができる枠は最大で3選手ぐらいでしょう。

 侍ジャパンが始動したタイミングでどの投手・選手が順調に適応しているのか。この観点から調整状況を見守ることも楽しみ方の1つと言えるのではないでしょうか。