弁護活動を否定する日弁連に存在意義はない、即座に権力を放棄し解散せよ

 弁護活動を引き受けた弁護士が懲戒審査の対象となったとNHKが伝えています。

 裁判を起こす権利は誰にでも存在しているはずですが、代理人を務めただけで懲戒の対象となるのは弁護士に求められている役割を果たすことができなくなります。日弁連が示した姿勢ほど、本末転倒な事例は珍しいと言えるでしょう。

 

 第二東京弁護士会に所属する60代の男性弁護士は、20代の女性がアダルトビデオへの出演を拒否したことについて、女性と芸能活動の契約を結んだ会社の代理人として、2400万円余りの違約金を求める裁判を担当しました。

 (中略)

 これについて、日弁連は先月、「請求が多額でアダルトビデオへの出演を強制する威圧的な効果があった」などとして、懲戒審査を行うべきだという決定を出したということです。

 弁護士は「誰にでも裁判を起こす権利があり、代理人を務めただけで問題にされると、弁護士業務の萎縮につながる」として、第二東京弁護士会が行う懲戒処分の審査の場で反論するとしています。

 

 

 問題なのは日弁連が弁護活動を否定している点です。

 「弁護を引き受けたことはAV出演を強要することと同義で容認できない」というロジックを認めることはできません。なぜなら、“社会的に問題のあると見なされる人物” を弁護することが不可能になるからです。

 例えば、殺人事件で逮捕され、死刑判決が確実と見られる犯人を弁護するケースです。「弁護を引き受けたことは被告の殺人行為を容認することと同義で容認できない」という主張に日弁連がお墨付きを与えるのです。

 死刑廃止を訴える政治的な活動を続ける日弁連の主張が軽く吹き飛ばされるだけの威力があることを見落としているのでしょう。

 死刑判決を回避するために、あの手この手で弁護したとしても、「“社会的に問題のあると見なされる人物” を野に放つための威圧的な効果があった」という理由で懲戒処分にしろと世間からプレッシャーがかかり、弁護活動の萎縮につながる恐れがあるのです。

 

 AV出演に合意したにもかかわらず、翻意をすれば、損失を与えることになります。それに対し、キャンセル費用などの損害賠償を請求するために訴訟を起こす権利は認められなければなりません。

 日弁連のイデオロギーに合致しない請求内容を求めた訴訟の代理人を務めるなら、懲戒処分に科すというスタンスを貫くのであれば、行政が日弁連を解散させなければなりません。

 多様な価値観が認められるはずの民主主義国家で、特定の思想を持つ人物だけが弁護士業務を独占していることと同じだからです。“威圧的な効果” を処分の対象にするのであれば、スラップ訴訟を自ら仕掛ける弁護士も同様に懲戒処分にする必要があるでしょう。

 

 事前救済の対象でなければ、弁護のする価値もないというスタンスを日弁連が示すことは論外です。そのような組織が司法改革を訴えたとしても、支持を集めることはないと思われます。

 弁護士自治の名の下、一部の弁護士のイデオロギーに反する見解・主張を弁護することは許さないという姿勢を明確に示そうとする日弁連は組織そのものを解体し、弁護士自治にピリオドを打つ必要があるのではないでしょうか。