文科省やマスコミからの天下り教員の生活を守ることになる大学無償化に反対する

 文部科学省から早稲田大学の教授への天下りを組織的にあっせんしていたことが明らかになったと朝日新聞が報じています。

 「若手研究者の職場を用意するように」との掛け声をしていた文科省の内部から幹部職員が天下りを行い、しかも組織的に隠蔽を行っていたのですから背任行為と言えるでしょう。

 “天下り教授” に支払っていた額の給与で複数名の若手研究者を雇用できるようになる現実にも目を向ける必要があります。

 

 人事課長が隠蔽(いんぺい)に加担、早稲田大への口裏合わせ依頼……。文部科学省の「天下り」あっせん問題で、20日に発表された内閣府再就職等監視委員会の調査結果からは、官僚トップ自らの関与に加え、組織的に規制違反の発覚を免れようとした行為も浮かび上がった。

 (中略)

 20日午前、東京都内で記者会見した再就職等監視委員会の担当者は、こう語った。文科省での組織的な天下りは、再就職あっせんなどを規制した改正国家公務員法施行直後の2009年ごろから行われていたという。

 

 おそらく、野党は「千載一遇のチャンス」とばかりに通常国会で安倍政権を攻撃するでしょう。そして、野党応援団と化しているメディアも同調するはずです。

 ただ、発覚した組織的な天下りは2009年頃から行われていたのです。蓮舫氏が音頭を取った行政改革では “天下り対策” も含まれていました。

 つまり、民進党が実施した行政改革では天下りの実態を把握することすらできず、安倍政権で発覚した天下りを批判するという無能さをさらけ出すリスクがあることに注意しなければなりません。批判するだけでは足元をすくわれ、ブーメランになることを自覚する必要があるのです。

 

 天下りをした官僚の中にも “大学での研究実績” を持っている人はいるでしょう。しかし、『教授』としての給与水準を得るだけの実績を有している人はゼロに限りなく近いはずです。

 これはジャーナリストから大学教員に転職した人物も同じです。

 大学教員の研究実績は論文です。研究論文を書くことは誰にでも可能なことですが、論文数に大きな違いが生じます。研究環境の良い立場にいれば、論文を執筆するスピードは上がります。特に、助手や学生を使える立場にいるほど効率的と言えるでしょう。

 一方で、官僚やジャーナリストは本業が別に存在します。本業の合間に論文を執筆するのですから、完成する論文の数に差が生まれることになるのです。

 

 もし、官僚やジャーナリストが個人(またはグループ)で執筆・発表された論文数より発表した論文が少ない大学教員がいれば調査の対象とすべきです。

 大学教員となって年数が浅いのであれば、論文数が少ないことが問題視されることはありません。しかし、教授や助教授・准教授という「学部の顔」になる教員が発表した論文数が極端に少ない(例えば、1桁である)のであれば、解任しなければならないでしょう。

 学術的な業績を残していない教員に高給を支払う意味はないからです。

 

 また、「大学授業料の無償化」を訴える声がメディアなどから報じられていますが、これはメディアや文科省からの “天下り先” を確保することと同じです。

 質の悪い教員による授業を受けた学生が成長する見込みは低いと言えるでしょう。もし、それでも学生は成長するというのであれば、大学教育に多額な資金を国から投入する理由がなくなることを忘れてはなりません。

 大学教員だったことが問題視され、ニュースとして大きく報じられましたが、事務職という形で “天下り” を行っている人物にまで対象を広げれば、数は大きくなることが予想されます。

 能力のある人物が実力でポストを掴んでいれば批判をする人はいないでしょう。しかし、コネでポストを得て、実力に見合わない高給を得ている実態は是正する必要があると言えるのではないでしょうか。