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トランプ大統領による国連拠出金停止の動きに正面から反対することは困難だろう

 トランプ大統領が国連などの国際組織に対する資金の拠出を停止する大統領令に署名する用意をしていると『ニューヨーク・タイムズ』が報じています。

 「少なくとも全体で 40% の削減」を要求すると記事では言及されており、コスト意識が皆無に近い国際組織ほど衝撃を受けていることでしょう。ただ、不釣り合いな規模の拠出金を出し続けることは現実的でなく、現状に甘え切っている国連組織が自己改革に乗り出さないかぎり、本当に削減されることになると考えられます。

 

 削減される対象として、『ニューヨーク・タイムズ』が指摘しているのは以下の組織です。

  1. パレスチナ自治政府やPLOの加入を認めている組織
  2. 中絶を支援するプログラム
  3. イランや北朝鮮などへの経済制裁を骨抜きにする支援活動を行うプログラム
  4. テロを支援する国家からの影響度が強い組織
  5. PKOの資金

 

 トランプ大統領から「拠出金を停止する」と言われた際に、上記の項目に対して正面から反対する論陣を張るメディアはいないと思われます。

 「国際組織への拠出金停止に反対する」と全体部分で反対意見を表明することが精一杯で、「中絶の権利は認めるべき」という意見を除くと、個別の内容ごとに反対意見を述べる気概を持った “勇気のあるメディア” は現れないでしょう。中絶問題以外の項目は旗色が悪すぎるからです。

 

 パレスチナ関係は “親イスラエル派” が熱烈に支援することが明らかです。メディア産業はユダヤ系が多い職種であり、イスラエルを批判する声は限定的で、パレスチナ側の主張を伝える欧米メディアはほぼ皆無に近いと言えるでしょう。

 次に、国連決議で経済制裁が決定した国に支援活動を行う国際組織に拠出金を支払うなど論外です。「問題があるから、制裁を科された」のです。

 融資不適格と決定された組織に迂回融資をしていることが明るみになれば、担当者は懲戒となります。核兵器の開発を行い経済制裁を科された国に対し、国際組織が人道支援という名目で “迂回支援” をすれば、経済制裁が骨抜きになります。経済制裁の対象国に便宜を図った国際組織がその責任を問われることは当然なのです。

 また、テロ組織とつながりが強い組織に国連の分担金が費やされることはマイナス効果を生む温床となりますし、自国の国益に関係のないPKOの活動費を負担することに対してもメリットはありません。

 他国の内政に干渉するということは、自国に対して諸外国から干渉されても文句は言えなくなるのです。

 

 トランプ大統領は「アメリカの国益を最優先に考える」というスタンスを明確に打ち出していますので、その点を突き、上手く交渉することで翻意させることができるかが鍵となるでしょう。

 ただ、新しい国連大使が次のように述べており、リベラルにとっては厳しい現実が突きつけられていることを忘れてはなりません。

 ニッキー・ヘイリー新国連大使は議会上院の指名承認公聴会で、「我々は不釣り合いなほど国連拠出金を支払い、それだけの対価を得ているか自問しなければならない」と述べ、国連改革を強く求めていく姿勢を示していた。

 肥大化しすぎたことで拠出金が大きくなり、活動家が国際組織の名を使って好き放題やるという別の問題も存在しているのです。活動家たちが勝手に決めた基準が各国に押し付けられれば、行く末は現在のEUと同じ運命になるでしょう。

 

 “完璧な組織” は存在しないのですから、問題が指摘された段階で手遅れになる前に改善策を作り、解決に向けて動き出さなければなりません。それを無視し続けると、批判に対する反論を聞いてもらうことができず、組織そのものが崩壊することになるでしょう。

 トランプ大統領が考えているとされる拠出金停止の動きに対し、その考え自体が間違っていると否定できないのですから、多額の拠出金を出す国の不満を払拭するための改善作業に着手しなければ信用度を大きく損ね、今後の活動自体に大きなマイナスとなることを国際組織は自覚する必要があると言えるでしょう。