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カナダ・トルドー首相の難民歓迎は口先だけではないなら『投資移民枠』の水準を元に戻すべき

 カナダのトルドー首相が難民問題に「信仰に関係なくあなた方を歓迎する、多様性は私達の強みだ」とツイートしたことを受け、一部のメディアが喝采を送っています。

画像:トルドー首相(カナダ)によるツイート

 ですが、トルドー首相のツイートは口先だけに過ぎないでしょう。なぜなら、カナダ政府は数年前に外国人に与える永住権の条件を厳しくし、事実上の締め出しを行っている現状があるからです。

 

 カナダ政府が2014年に行った内容は産経新聞が次のように報じています。

 カナダ政府は2月中旬、一定額の投資を条件に永住権を外国人に与える移民プログラムを大幅に見直す方針を打ち出した。永住権取得後に資産だけを移し、実際には居住しないなど問題が多いことが背景にある。今後、投資額の引き上げなど条件を厳しくし、受け入れ対象者を制限するとみられるが、申請者の多くが中国人であることから、カナダ国内の中国人コミュニティーには動揺が広がっている。

 

 カナダには “投資移民枠” が存在し、永住権を金で買うことが可能です。

 資産を持ち、生活を自立させることができる外国人の移民申請が認められやすいのはどの国にも共通すること。“投資移民枠” が存在することは問題ではありません。

 しかし、カナダは数年前に「条件に定められた資産が移されただけで、(カナダ国内での消費活動などによる)経済活動が満足に行われていない」というクレームを付け、“投資移民枠” を厳しくした前科があるのです。

 

 カナダ政府の方針転換による大きな影響を受けたのは中国人です。申請の大部分が中国人だったということもありますが、太平洋に面するブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー周辺で中国人コミュニティーが巨大化していることも一因と言えるでしょう。

 資金が流れ込んだことにより、土地バブルが起き、家賃が高騰。バンクーバーの南に隣接するリッチモンドは中華街の色合いが強まり、バンクーバー(Vancouver)が「香港のようだ」意味でホンクーバー(Hongcouver)と揶揄される状況が起きていたのです。

 このことへの対応策という意味もあってか、“投資移民枠” に必要な投資額が上昇するなど、移民申請そのものをハードルを高める方向へとカナダ政府は舵を切った過去を持っていることを忘れてはなりません。

 

 資金を持つ中国人が永住権を申請するハードルを高くする一方で、“人道的観点” という理由で「シリアからの難民は歓迎する」とトルドー首相はアピールしているのです。

 このような偽善的スタンスは長続きしないでしょう。資産を持った中国人の永住権希望者を門前払いにするカナダ政府が社会保障にタダ乗りする可能性が極めて高いシリア難民の生活を最後まで面倒を見るとは考えづらいからです。

 多様性が強みとなるなら、“資産を持った中国人” も含まれているべきです。しかし、実際には「カナダの経済に期待した貢献をしていない」という理由で門戸を閉ざす方向へと方針転換を行いました。

 資源国としての顔を持つカナダですが、シリアからの難民を受け入れる余力はそれほど存在しないでしょう。なぜなら、資源となる石油が産出されることで財政的に余裕があるのはロッキー山脈の東側地帯に位置するアルバータ州ぐらいに限られるからです。

 

 資源国だと主張したところで、資源によって得られた予算を自国民より難民に優先的に費やすことでカナダ国民からの怒りを買うことになるでしょう。

 経済に十分に貢献していない中国人を締め出しておきながら、シリアやイラクの難民はウェルカムという姿勢は明らかにダブルスタンダードです。もし、難民が経済にプラス効果をもたらすなら、その根拠を説明すべきです。

 人道上の目的であるなら、中国政府が行う人道的な問題についても同じ基準を適用されているはずで、“投資移民枠” は緩和の方向へと向かっていなければならないことなのです。キレイゴトを主張するだけの人気取りは必ず手痛い失敗をすることになることを自覚する必要があるのではないでしょうか。