国有地を格安で売却することが問題なら朝日新聞本社も同罪である

 「安倍政権に近い私立の学校法人が国有地を格安で入手している」とでも批判したいのでしょうか。

 近畿財務局が大阪府豊中市にある国有地を学校法人『森友学園』に売却したと朝日新聞が報じています。ただ、売却に至った経緯を確認すると、朝日新聞の主張は単なる言いがかりに過ぎないと言えるでしょう。

 

 財務省近畿財務局が学校法人に払い下げた大阪府豊中市内の国有地をめぐり、財務局が売却額などを非公表にしていることが分かった。朝日新聞が調査したところ、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1だった。国有地の売却は透明性の観点から「原則公表」とされており、地元市議は8日、非公表とした財務局の決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。

 

 売却先である学校法人『森友学園』は朝日新聞など左翼文化人がバッシングキャンペーンを展開している『日本会議』の役員が理事長を務めています。

 私立学校がどのような価値観に基づく教育を提供しようが、学習指導要領の範囲内であれば、特に問題視する必要はありません。要するに、“朝日新聞が認める価値観に合致しない人物” が国有地を格安な価格で取得したことが気に入らないだけと言えるでしょう。

 

 朝日新聞が批判する根拠は「隣接する(同規模の)国有地より価格が10分の1だから」というものです。

画像:格安な値段で売却された国有地

 しかし、この主張には穴があります。なぜなら、「土地の価格は上下する」という重要な事実を見落としているからです。

 では、売却の経緯を確認することにしましょう。

  • 2010年:豊中市に約14億2300万円で売却(公共随意契約)
  • 2013年6~9月:売却先を公募
  • 2016年6月:森友学園に1億3400万円で売却(公共随意契約)

 「豊中市に14億円超の価格で売却しているのだから、今回も10億円超の価格が付くはずだ」と考えたのでしょう。ですが、買い手が現れなければ、売買契約そのものが成立しないのです。

 

 まず最初に、朝日新聞が確認すべきは「豊中市の購入価格約14億2300万円が妥当なものか」です。これは豊中市が相場よりも高い価格で土地を取得していることが考えられるため、基準が正しいかを確認する必要があるでしょう。

 次に、公募を開始してから売却までに3年もの期間を要していることも見落とすことはできません。

 もし、豊中市に売却した隣接地の価格が “適正値” として買い手側に認識されていれば、10億円超の価格で公共随契が締結されていたはずです。ですが、結果は10分の1の価格で売却されました。

 これは豊中市が高値を付けて国有地の購入に応じたと判断せざるを得ないでしょう。実際は買い手がほとんど現れない人気の少ない土地だったのです。

 

 国有地を格安で払い下げることが問題であるなら、東京・築地にある朝日新聞本社の敷地についても厳しい指摘をしなければなりません。

 昭和50年当時200万円は下らないと言われた土地を「56万円+浜田山の土地」というオイシイ条件で手に入れているのです。公募ですらない “ズル” をして入手した国有地に本社を建設した新聞社に公募で土地を取得した学校法人を批判する資格はないでしょう。

 明らかに、入手した学校法人の教育方針が朝日新聞と相反するため、嫌がらせのキャンペーンを展開しているに過ぎません。

 「土地の価格が下落することはおかしい」と感じる人はマスコミ関係者として失格です。日本でバブルが起き、崩壊した際に土地価格の激しい上下動が生じたことを知っているはずだからです。

 

 既存メディアは “フェイクニュース” と命名し、ネット発の情報に批判的ですが、自分たちが “フェイクニュース” を流していることを自覚しなければなりません。朝日新聞が報じた今回の報道も歪曲の度合いが強い “フェイクニュース” と言えるのではないでしょうか。