「権力の暴走を監視する」と叫ぶ “反権力界隈の暴走” を監視できないBPOに存在価値はない

 「小保方晴子氏がBPOに申し立てていた人権侵害が認められた」とNHKが報じています。

 小保方氏には「STAP細胞があることを証明する責務」があり、挙証責任を果たしていない小保方氏の研究成果に疑惑を目を向けることは当然です。しかし、その報道を人権侵害だと認定したBPOには存在価値はないと言えるでしょう。

 

 3年前の7月に放送されたNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」について、理化学研究所元研究員の小保方晴子氏は人権を侵害されたとしてBPOに申し立てていました。

 これについて、BPOの放送人権委員会は、10日、記者会見し、番組の一部について、「場面転換などへの配慮を欠いたという編集上の問題があり、小保方氏が元留学生作製のES細胞を不正行為により入手して混入し、STAP細胞を作製した疑惑があると受け取られる内容になっている」としたうえで、「名誉毀損の人権侵害が認められる」と指摘しました。

 

 “ある事実” の存否について論じる場合、存在が立証できなければ、「“ある事実” は存在しない」という前提で裁判は進行することになっています。

 これは原告Aが「被告Bに金を貸しました」と主張したことに対し、被告Bが「原告Aからは金を借りていません」と否定した場合、原告Aが “金を貸した” ということを証明しなければならないことと同じです。

 STAP 細胞の件では小保方氏が「STAP 細胞は存在する」と発表しました。そのため、小保方氏自身が自らの発表した作成方法で STAP 細胞ができることを証明しなければならない立場にあったことは自明です。

 

“嘘つき” の名誉を守ることを優先するBPO

 ところが、BPOは挙証責任を果たしていない小保方氏からの人権侵害の申し出を認め、NHKに勧告を出しましたが、NHKは次のように反論しています。

  1. 小保方研究室の冷凍庫から元留学生のES細胞が発見されている
  2. 小保方氏はそのES細胞を「若山研究室から譲与された」と説明
  3. しかし、作成者の元留学生は「自分が譲与したことはない」と否定

 細胞研究を行う最先端の研究室で研究内容に関係のない “別の細胞” があることは不審なことです。また、STAP 細胞とされた物質はES細胞から生成された可能性が極めて高いことも明らかとなりました。

 「小保方氏がES細胞を盗んだ根拠が示されておらず、人権侵害に当たる」というのであれば、STAP 細胞が存在することを示していない小保方氏の訴え自体も意味のないものとして門前払いにしていなければ正当性が保てないと言えるでしょう。

 

BPOは反原発番組に対する事実誤認の指摘を無視した前科あり

 小保方氏の肩を持ったBPOですが、過去にNHKスペシャルが報じた “反原発番組” に対する事実誤認との指摘を無視した前科を持っています。

  • 「年間0.2mSvの低線量でガンになる住民が34%増」と虚偽のナレーションで断定
  • 「イリノイ州の原発ではトリチウムによる健康被害が出た」と誤解を与える印象操作を行う
  • 国際放射線防護委員会(ICRP)関係者の発言内容をNHKの主張内容に合致するよう改変
  • 「ICRP は原発推進団体が作った組織」とのレッテル貼り

 NHKが報じた「低線量被ばく 揺れる国際基準」では明らかに事実の異なる上記の点が指摘され、BPOに提訴されたのですが、BPOは対応に乗り出していません。

 小保方氏のケースよりも悪質な取材方法で作られた番組が放送されているにもかかわらず、BPOが審議入りを見送る理由はどこにあるのでしょうか。これでは「委員の多くが反原発派のスタンスを採っている」と批判されても仕方のないものです。

 

「権力の暴走を監視する」と叫ぶメディアの暴走を監視でないBPOに存在価値はない

 BPOが審議に応じるパターンを見ると、反権力界隈の活動にお墨付きを与える傾向があるように思われます。委員の人選そのものに大きな偏りがあると言えるでしょう。

  • 権力側(理研や製薬会社)が小保方氏の研究成果を潰した
    → 人権侵害として勧告
  • 権力側(原発容認派)からの事実誤認の指摘
    → 審議入りを拒否し、放送内容を黙認

 “自主避難” を行った子供たちへのいじめ問題をメディアは盛んに取り上げていますが、BPOに対して2012年夏に行われた提訴の段階で受理し、きちんとした審査を行っていれば、いじめ問題への波及は起きなかったことでしょう。

 マスコミは「権力の暴走を監視する」と主張していますが、原発に関する報道ではマスコミ自身が完全に暴走してしまっています。BPOの役割はそうしたマスコミの報道姿勢に歯止めをかけることも担っているはずですが、その責務を果たすことができていないのです。

 これではBPOの存在価値はゼロに等しいと言えるでしょう。

 

「シン・スゴ(辛淑玉)氏への人権侵害があった」と発表し、BPO廃止への決定打を放って欲しい

 小保方氏への人権侵害を認め、勧告を出したことは外国人であるにもかかわらず在日アメリカ軍基地建設の妨害活動を行っているシン・スゴ氏への人権侵害があったと認定する土壌となるでしょう。

「若い子に死んでもらう。(中略)それからじいさんばあさんたちは向こう行ったらただ座って止まって何しろ嫌がらせをしてみんな捕まってください。でね、70以上がみんな捕まったら刑務所もう入れませんから、若い子が次頑張ってくれますので」

 こうした発言を行い、賛同者を募り、基地建設の行う沖縄への旅費として5万円を拠出する。いずれも事実ですが、BPOは「シン・スゴ氏の人権が侵害された」との判断を下すでしょう。

 なぜなら、シン・スゴ氏の主張内容に賛同する政治的な立ち位置にいる人物がBPOの委員を務めているからです。偏った人物が判断に携わっており、そもそも審査資格がない組織だと批判しなければならないと言えるでしょう。