朝日新聞の「森友学園に破格の価格で国有地を売却」報道はファクトチェック不足だ

 朝日新聞の吉村治彦記者と飯島健太記者が報じた「近隣の1割で国有地が学校法人に売却された」というニュースは売却額と内訳が公開されたことで “朝日新聞の誤報” であることが強まりました。

 土地を購入した『森友学園』の瑕疵は一切存在しなかったのです。学校法人のイメージを傷つけたことに対する謝罪を行い、記事を適切に更改することが報道機関としての責務と言えるでしょう。

 

 今回、朝日新聞が報じた記事が問題である理由は「比較対象を都合良く変えているから」です。具体的には以下の表を見るとイメージしやすいでしょう。

表1:近畿財務局が売却した大阪府豊中市の土地価格
 森村学園学校法人A豊中市
土地 豊中市野田町1501番 豊中市野田町1505番
面積 8770㎡ 9492㎡
売却時期 2016年3月 2011年7月 2010年3月
地価 9億5600万円 7〜8億円 * 約14億円
ゴミ撤去費用 8億円超 2億5千万円 *
購入額 1億3400万円 5億8千万円 * 14億2300万円

 

 最初に問題視されるのは「実際の購入価格」という点にだけ焦点を当てて騒いだことです。

 売買されたのは隣接地ですが、土地面積が異なります。また、売却時期も異なっており、地価が変動する可能性がありますので “取材不足” を否定することはできないと言えるでしょう。

 

1:豊中市の購入額は適正値

 まず確認すべきは「豊中市が土地を購入した価格が適切であったか」という項目ですが、これは適切なものだったと断定できるでしょう。売却に関する諮問会議の議事録(PDF)が公開されているからです。

 2010年(平成22年)2月22日に会議が行われ、3月には豊中市へ土地が売却されているからです。

 売却価格の決定理由は「野田校区には公園が非常に少なく、地元住民から公園整備の要望が出ていたこと」が根拠として述べられ、豊中市が “防災公園” として利用する目的を持っていたことから『時価で売払い』をすることが決定されたことを読み取ることができます。

 したがって、豊中市への売却金額は適正なものであると言うことができるでしょう。

 

2:2011年に土地取得を希望した『森友学園とは別の学校法人』に売却していた方が問題

 『森友学園』が国有地を適切に取得していたことに納得できないのか、朝日新聞は「2011年に別の学校法人が提示した高い購入額での土地取得は拒否されている」とクレームを付けています。

 この学校法人からの取得要望に近畿財務局が応じていれば、そちらの方が大きな問題です。なぜなら、地価の評価額を相場にと比較して低く見積もった上で売却に応じていることになるからです。

  • 豊中市が購入した地価を適用:12億9000万円
  • 学校法人Aが見積もった地価:7〜8億円
  • 森村学園への売却時の鑑定価格:9億5600億円

 わずか1年で隣接地の地価が5割弱も下落するでしょうか。

画像:大阪府豊中市の国有地

 買い手が地価を5割弱も低く見積もっている時点で、売り手が応じないことは当然です。

 本来の土地価格よりも低い価格で売却に応じれば、相場の値段で売ることが可能となり、“土地転がし” が可能になるからです。このことを無視して取得できなかった学校法人Aの関係者から「違和感がある」とのコメントを掲載する朝日新聞に違和感を持つ人が多いことでしょう。

 

3:地価が上がり、『森友学園』が購入できなかったらどうするのかと議論されている

 『森友学園』から土地の購入希望が伝えられた際、諮問会議では「地価上昇により、土地の取得費用を用意できない可能性」についての議論(PDF)が行われています。

 財務状況や経営計画を確認することでチェックは可能との結論に達しているのですが、注目すべきは「鑑定価格よりも将来的には地価が上がる可能性があること」が指摘されていることでしょう。

 小学校ができ、“人の流れ” が生まれることで地価は上昇します。そのことを考慮すると、買い手が付いていない土地が何もしていないのに鑑定価格が億単位で上がることなどないと考えることが普通でしょう。

 地区全体が再開発地域に指定されているなどすれば話は別ですが、現状では「学校法人Aが地価を(意図的に)低く見積もった」と言わざるを得ないものになっています。

 

4:廃棄物撤去には資金が必要であり、豊洲のように風評被害という問題もある

 学校の校舎を建設する訳ですから、耐震化工事を行う前に地盤の確認を行うことが大前提です。地中に廃材やゴミがある状況では法律で定められた耐震基準を満たすことができないのですから、条件をクリアするために、通常よりも多額の費用を計上することになるのは当然と言えるでしょう。

 また、昨今ではマスコミは排水にする地下水のことで豊洲市場への移転について大騒ぎをしています。

 「学校建設予定地の地中に廃材やゴミがあった」ということは保護者への風評被害を引き起こすには十分すぎる話題です。この個別事情を無視して騒ぎ、マイナス部分が大きくクローズアップされ、風評被害を引き起こす原因を作った朝日新聞は責任を取らなければなりません。

 

 「生徒が学校生活を送る上で健康面での問題は一切存在しない」ということを紙面で発表することが吉村治彦記者と飯島健太記者の責務と言えるでしょう。

 森村廣氏(民進党)のように自らの認識ミスと真摯に向き合う政治家もいるのです。朝日新聞が同じことをできるのかに注目する必要があります。

 陰謀論を唱えたい界隈がいるようですが、そうした人々は「朝日新聞を含めた大手新聞社が都市部の超一等地に本社を構えた経緯」を調査すると良いでしょう。また、“在日” が行政から土地価格で大きな恩恵を受けていることを批判しなければなりません。

 ファクトチェックと叫ぶのであれば、まずは既存メディアの報道内容に対する “ファクトチェック” を行ってみるべきなのではないでしょうか。