朝日新聞の「森村学園が取得した国有地のゴミの撤去費用が高すぎる」との主張内容に含まれた問題点

 朝日新聞が「安倍政権と近い距離にある学校法人が国有地を格安価格で払い下げられた」と騒いでいる問題ですが、不発に終わることになるでしょう。

 「ゴミの撤去費用が高すぎる」との記事を書いていますが、これも決定打になる可能性は極めて低い状況です。反論によって論破される可能性が極めて高いことに気づいていないなら報道機関として致命的と言えるでしょう。

 

 籠池理事長は13日に代理人弁護士らと取材に応じ、掘削中に廃材や靴、タイヤといった生活ごみが地下で見つかり、くいを打つ場所のごみは適切に処理したと説明。全てのごみは撤去していないが、子どもの体への影響はないとしている。

 ごみの撤去にかけた費用は「1億円くらいかな」とし、財務局がごみ撤去費として見積もった8億1900万円については「知らなかった」と述べた。

 財務省は13日の取材に対し、「理事長は『撤去費の額は他の工事と一体になっているので分からない』と答えている」と説明。売買契約書によると、ごみ撤去の責任と費用は学園が負うと定めており、近畿財務局はこれまで「どの程度のごみを撤去するかは森友学園が決めること。地下の最終的な状態は把握していないが、学校の運営に支障がないと理解している」と回答している。

 

 

残っている批判要素は「ゴミの撤去費用」のみ

 朝日新聞が報じた批判内容が変遷しているため、下表を念頭に置くことが不可欠です。

表1:近畿財務局が売却した大阪府豊中市の土地価格
 森村学園学校法人A豊中市
土地 豊中市野田町1501番 豊中市野田町1505番
面積 8770㎡ 9492㎡
売却時期 2016年3月 2011年7月 2010年3月
地価 9億5600万円 7〜8億円 * 約14億円
ゴミ撤去費用 8億円超 2億5千万円 *
購入額 1億3400万円 5億8千万円 * 14億2300万円

 当初、「森村学園の土地購入価格が低すぎる」と批判し、別の学校法人が高い値を付けたことと比較すると不自然だと主張しました。

 ところが、当該学校法人が見積もった地価が明らかに低いことが判明し、近畿財務局が売却に難色を示したことに正当性が生まれたのです。すると、次は「森村学園の見積もりにあるゴミ撤去費用が高すぎる」と批判の根拠を変更したのです。

 

ゴミ撤去費用は安くなることは不自然ではない

 朝日新聞は近畿財務局が見積もった8億円を超えるゴミ撤去費用が8分の1になることは不自然だと批判したいのでしょう。

 ですが、これも根拠の乏しい批判です。なぜなら、撤去対象のゴミは地下に存在しており、次のようなケースが考えられるからです。

画像:土地全体のゴミを除去する必要はない

 地中にゴミが埋設されていることは判明しており、売却時に土地全体のゴミを撤去する前提で費用が計上されることは当然のことです。むしろ、一部分でのみ撤去費用を認める方が不自然と言えるでしょう。

 『森村学園』は校舎や体育館などを建設する際の “くい” を打つ場所で見つかったゴミは発見時に処分を行ったと述べています。また、「すべてのゴミを撤去した訳ではない」と認めていますので、掘削を行った区画が全体の 10% 強であれば想定の範囲内と言えるです。

 また、現実には誤差も生じるため、「ゴミ処理費用が安すぎる」と批判するには根拠が乏しいと言わざるを得ません。

 

容積率を考えても、土地全体を掘削している可能性は低い

 校庭として利用される地表が環境的に問題がないなら、(どれだけ存在するか分からない)地中のゴミをわざわざ撤去する必要はありません。

 また、容積率が定められていることを考えると、土地全体を掘削していない方が普通と言えるでしょう。

 地震によって “未知の断層” が動き、地中のゴミが地上に出てくることも考えられます。これはリスクの1つですが、近畿財務局が言及しているように「どれだけ撤去するかは(土地の購入者である)森友学園が決めること」であり、自己責任なのです。

 ただ、朝日新聞が変に騒いだことで “地下にあるゴミ” による風評被害が今後生じる危険性があります。「学校運営上も、子供たちへの健康上も影響はない」という疑念を払拭することが報道機関として朝日新聞が行うべき最低限のマナーだと言えるのではないでしょうか。