「あなた方が従事している産業は潰す、だから私達を支援しろ」と労働者に要求する民進党

 “脱原発” や “反原発” のイデオロギーに染まると正常な判断をすることが難しくなるのでしょう。

 民進党の蓮舫代表が「2030年の原発ゼロ」を打ち出し、党内からの反発を招いていると朝日新聞が伝えています。この政策は支援組織である『連合』に参加している電力産業に現在従事している労働者の職が消滅することを意味しているのです。蓮舫氏は重要な視点が抜け落ちているのではないでしょうか。

 

 民進党は16日、蓮舫代表の執行部が検討する「2030年原発ゼロ」をめぐり、全議員を対象にした会合を初めて開いた。支持母体である電力などの労働組合出身議員から強い反対意見が噴出。安倍政権への対抗軸として、3月の党大会で打ち出せるのか。蓮舫氏の指導力が問われそうだ。

 

 電力会社などの労組出身議員が強い反発を示すことは当然です。蓮舫氏が主張する政策を実行するということは電力会社や協力会社の従業員の雇用を消し去ることになるからです。

 “労働者の味方” を名乗っておきながら、雇用機会そのものを消し去ろうとしているのですから、反発を招くことは当然の結果だと言えるでしょう。

 もし、原発ゼロを行うなら、現時点で原子力産業に従事している人々の配置転換策を講じなければなりません。蓮舫氏に問われている “指導力” はその点なのです。

 

 自分が働いている産業そのものを廃止すると宣言する政党を応援する有権者が存在するでしょうか。違法性が問題視されている産業ではなく、社会インフラを支えている分野であれば尚更です。

 “原発ゼロ” を掲げていることを根拠に電力供給責任が皆無である朝日新聞は気楽に後押ししています。

 朝日新聞のような高給取りであれば、電気代が上昇したところで痛くもかゆくもないと思われます。しかし、電気代高騰がコストとして重荷になっている産業は別です。

 朝日新聞もホテル事業を営むようになり、「電気代=コスト」という認識が強くなれば、反原発には意味がないことに気づくと思われます。“反原発派のエゴ” によって、FITを通して再生可能エネルギーを市場価格と比較して著しい高値で買い取ることを押し付けられているからです。

 このような姿勢を鮮明にする政党に選挙で票を投じるバカな有権者はいません。それは各メディアが行っている世論調査からも明らかなことなのです。

 

 「自民党はTPPに賛成し、農家の生活を苦しめようとしている」と参院選では主張した民進党が脱原発で電力産業従事者の生活を苦しめる政策を前面に打ち出しているのです。

 しかも、そうした政策を打ち出しておきながら、「電力産業従事者も加盟する『連合』は自分たち民進党を支援すべき」と考えている有様です。

 『連合』は「労働者の生活を守る活動をしていない」と批判され、組合への加入率が減少の一途をたどっています。労働者の待遇改善という本来の役目を忘れ、他の部分での政治的発言ばかりを繰り返していれば当然の結果ですが、さすがに組合員の生活そのものを成り立たなくさせる政策に賛成することはできないでしょう。

 民進党の政策に賛意を示すようなことをしてしまうと、『連合』の組織そのものが支持を失うことになるからです。

 

 朝日新聞の社員にも理解しやすく例えると、「ネット上で朝日新聞のことを手厳しく批判している人々の活動を朝日新聞が社として支援することと同じ」なのです。

 朝日新聞がそのような活動の支援・後援に乗り出すことはないでしょう。その “ありえない” 要望を民進党の蓮舫氏は出したのです。これほど頓珍漢なことをする人物が野党第1党で代表を務めているのですから、与党が長期政権を築くことは当たり前と言えるのではないでしょうか。