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他社の知財を営利目的で無断利用できると判断した “マリカー” 社は訴えられて当然だ

 ゴーカートを運転する際にマリオなど任天堂のキャラクターのコスチュームを貸し出し、運転時の画像や映像などを宣伝・営業に利用していた会社が任天堂から提訴されたとNHKが報じています。

 訴えられた『マリカー』は「任天堂はビジネスに理解を示していた。著作権侵害行為には当たらない」と声明を発表していますが、極めて分が悪いと言えるでしょう。

 

 公道を走るカートのレンタルサービスを行っている東京・品川区の会社、「マリカー」が、カートをレンタルする際、客に「マリオ」などの任天堂の有名なキャラクターのコスチュームを貸し出し、それを着て運転する画像や映像などを、任天堂の許諾を得ずに宣伝や営業に利用しているのは、著作権の侵害にあたるなどとしています。

 任天堂は24日、「マリカー」社に損害賠償などを求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。

 

 『マリカー』社は山崎雄介氏が社長を務め、東京都品川区北品川に本社があります。

 X-Kart の正規代理店としてスタートを切り、Yahoo ショッピングにも出店しています。「行動カートを日本中に広めること」を目標に掲げており、そのために “マリオカート” のブランドイメージを勝手に利用していたとの印象を持たれることでしょう。

 

 任天堂は公式サイト上で、訴訟に踏み切った理由に言及しています。

 長年の努力により築き上げてきた当社の大切な知的財産を保護するために、今後も継続して断固たる措置を講じていく所存です。

 任天堂の知的財産である “マリオ” などを他社が営利目的で利用することを黙認することは考えられません。個人でマリオのコスプレを楽しんでいる場合は営利目的ではないため、任天堂が利用に対して文句を言ってくることはありません。

 もし、公道で “マリオ” のレンタルされたコスプレを着た人物がゴーカートで事故を起こせば、任天堂も批判や風評被害を受けるでしょう。

 任天堂の許可を得ていない会社が衣装やカートをレンタルしていたことが明らかになったとしても、「流れ弾」で任天堂のイメージが悪化することは十分に考えられるため、将来的なリスク要素を排除することは合理的であると評価することができます。

 

 『マリカー』社は「数か月前に任天堂の担当者と協議した際、サービスに理解を示す発言も得られていた」と弁解していますが、これは “アイスブレイク” での社交辞令を都合良く解釈していることが濃厚です。

 なぜなら、任天堂は2016年12月2日に商標を出願し、同月20日に公開されているからです。

画像:任天堂が取得した商標2016-136260

 第39類 自動車・二輪自動車の貸与,駐車場の提供,乗物の貸与,自動車・二輪自動車の貸与に関する情報の提供,自転車の貸与

 第41類 カート(遊具)の貸与,自動車おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,仮装用衣服の貸与,カートコース施設の提供,自動車・二輪自動車の模擬運転装置を備えた娯楽施設の提供,娯楽施設の提供,遊園地及びテーマパークの提供,カート競争の企画・運営または開催,ツーリングイベント・乗物を利用したイベントの企画・運営又は開催,レクリエーション施設及び遊園地による娯楽の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏

 第45類 衣服及び被服の貸与

 任天堂としては “最後通告” を突きつけたものの、『マリカー』側が対応する動きを見せなかったため、法的根拠を固めた上で制裁に動き出したと言うことでしょう。知財を守るという点において、任天堂の動きはオーソドックスなものだからです。

 

 過去には “マジコン” を販売していた会社との訴訟がありましたが、『マリカー』社との件でも同じ結末になることが予想されます。

 ゲームを広く普及させるという目的で、“マジコン” の使用を正当化しようと裁判で主張しましたが、結果は認められませんでした。『マリカー』社も法的根拠に基づく利用許可を得られている根拠を何一つ提示できていない訳ですから、マジコン業者と同じ道をたどることになるでしょう。

 ちなみに、X-Kart の車体価格は50万円ほどですから、資本金2億円は別の目的があったと見るべきです。おそらくIPOをすることで創業メンバーが一攫千金を手にするための “見せ金” として調達していたのだと思われます。

 任天堂からスラップ訴訟を受けた被害企業として同情を集めたいのでしょうが、他社の知的財産を無断で利用して金儲けをしていた企業は厳しい批判にさらされることでしょう。裁判の行方に注目です。