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東芝はWHにチャプター11を適用し、リスクと負債額を圧縮すべきだ

 契約の “オプション条項” を軽視していたことが問題でしょう。東芝がアメリカ国内の原子力事業で大きな損失を負う状況に陥っています。

 巨額損失の原因となったウェスチングハウスに連邦破産法11章の適用を申請させることを検討していると読売新聞が伝えています。親会社への影響を最小限にするという意味でもチャプター11を行使する意味は大きいと言えるでしょう。

 

 経営再建中の東芝が、巨額の損失を計上する要因となった傘下の米原子力発電子会社「ウェスチングハウス(WH)」に米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)の適用を申請させることを選択肢の一つとして検討していることが24日、分かった。

 WHが進める原発建設は今後も損失を膨らます可能性があり、将来のリスクを遮断することを想定しているとみられる。ただ、破産法を活用した場合の影響を精査中で、東芝内部には慎重な意見もある。

 

 この問題は「損失を引き起こした原因」を特定することが肝心です。

 東芝が巨額の損失を計上することになった原因はウェスチングハウス(WH)が負った “オプション契約” です。これと同じ契約は見直すことは責務と言えるでしょう。

 

 アメリカで起きたことを図示すると、以下のようになります。

画像:東芝が巨額損失を負った流れ

 東芝(もしくはWH)のミスは「5億ドルの “オプション契約” で、60億ドルの賠償責任を負ったこと」と言えるでしょう。損害が発生する確率や額を正しく分析できていなかった可能性がありますし、契約内容としては当時の社長が背任に問われても不思議ではない状況です。

 オプション詐欺と見ることもできるでしょうが、契約内容がオープンになっていますので “詐欺” として裁判に訴えたとしても認められないでしょう。

 

 2011年に起きた東日本大震災で原発の設置基準は世界中で厳しくなりました。それによって建設に遅れが生じることは分かりますが、すでに遅れが出ていた案件に “オプション契約” を盛り込む判断を2015年頃に下したことは非常に不可解です。

 「不足の事態が生じた際に “善意” による話し合いが解決をもたらす」という考え方が通用するのは日本だけに限定されるでしょう。それも両者が持ちつ持たれつの確固たる信頼関係がある場合です。

 世界の大部分は契約社会であり、契約に記載された条項がすべてです。そのため、契約内容に問題があると見なせば、契約無効を確認するための裁判が起きることがあるのです。

 

 日本では「利害一致」という言葉が良く利用されますが、この考えを改めなければ日本の企業が活躍することが難しいでしょう。

 なぜなら、利益は一致することはあっても、損害まで一致することはないからです。

 ビジネスが上手く機能している時は問題点が表沙汰になることはありません。しかし、不足の事態など問題が生じると、事前に用意していた保険を躊躇なく行使して損害を最小限にしなければならないのです。

 ただ、東芝やWHがリスク計算を軽視していたことは否めません。義理や人情では動いてくれるのは日本という特殊な環境に限定されていることを強く自覚する必要があるでしょう。

 

 東芝としてはWHにチャプター11を躊躇なく適用すべきです。破産申請を行わず、真摯に債務を返済する姿勢は日本では美徳として評価されるでしょうが、アメリカの価値観は日本のものとは異なります。

 債務が減免される方法が存在する以上、その行使を最優先に検討しなければなりません。リスクを計算した上で迷わず行使すべきと言えるのではないでしょうか。