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豊洲問題:“高すぎるハードル” に戻したのは小池都知事であり、石原慎太郎氏の責任は問えない

 おときた駿議員が『豊洲市場の安全基準』は石原都政時代に設定されたものであり、「小池都知事が上げたのではない」と自身のブログで主張しています。

画像:おときた議員が提示した安全基準の推移

 しかし、“基準が高すぎる” と判断され、舛添都政時代に「安全宣言」が行われているのです。この事実を完全に無視し、石原氏が判断を下した内容を槍玉にあげることは論外と言えるでしょう。

 

 「勝手に基準を上げたのは小池知事」

 という声もありますけど、上げたわけではなく石原都政で約束した基準を確認しているだけです。

 行政の継続性から考えれば、むしろそれを変えたと言えるのは舛添都政ですが、このときの判断には予算承認という形で議会も賛成しているので、議会側にも責任があります(ただし、都の方針として「地下水を基準値以下にする」ことは変わっていません)。

 

 小池都知事やおときた氏は「『舛添氏が定めた安全基準』を『石原氏が認めた安全基準』に戻した理由」を説明しなければなりません。

 豊洲市場への移転反対派は「石原氏が安全宣言しろ」と主張し、放漫な態度を示しているとのイメージを浸透させたいのでしょう。ですが、移転反対派が科学的根拠に基づき、豊洲市場への移転に問題があることを証明することの方が先なのです。

 

1:舛添都政での「安全宣言」を破棄したのは小池百合子・現都政

 おときた氏も舛添氏が豊洲市場に「安全宣言」を出したことは認めています。この『安全基準』を引き上げたのは他ならぬ小池都知事です

 小池知事は独断で『安全基準』を石原都政時代の高い基準に引き戻した訳ですが、これを「高すぎるハードル」とおときた氏などが考えているかが焦点となります。

  • 現行の『豊洲市場の安全基準』は適切か?
    • 適切
      → 築地市場・豊洲市場は『同じ安全基準』で議論されるべき
    • 高すぎる
      → 移転を延期した小池都知事の責任問題

 “高すぎるハードル” に設定し直したのは小池知事です。それを根拠に「豊洲市場への移転延期」を表明しているのですから、移転する・しないの判断基準を示すことが都政の責任と言えるはずです。

 

2:「排水する地下水」を「飲料水」の基準でバカ騒ぎする都議会

 おときた氏は「地上も地下も安全にする必要性」を要求していますが、それが “高すぎるハードル” なのではないでしょうか。

 豊洲の地下水は豊洲市場で利用しません。地下水はすべて排水されるのですから、排水としての基準を満たしていれば問題ではないのです。この前提を無視し、排水される豊洲市場の地下水に「飲料水の基準」を適用するに意味はありません。

 『豊洲市場の地下水』として、市場に訪れた観光客に販売するプランでもあるのでしょうか。

 水道局が用意した『水道水』を市場で使うにもかかわらず、『排水される地下水』を市場で利用するように問題として取り上げる都議会議員は混乱を生み出しているだけであることを自覚しなければなりません。

 

3:「築地市場の改築」が不可能だから、移転という話になった

 そもそも論として、「築地市場を改築すれば、移転する必要はないのでは?」との素朴な疑問を持つ人もいるでしょう。しかし、それが技術的・日程的に不可能であるから、『移転』という話が進むこととなったのです。

 地下の工事を行わなければ、地上5階規模の建物を建設することは不可能でしょう。地上部分で市場機能を動かし続けながら、建設工事を並行して行うなど、開放された部分が衛生面で懸念されている築地市場で実施することは “狂気の沙汰” だと言えるはずです。

 そのため、東京(の湾岸部)で市場を設置できるだけの広さがあった豊洲が市場の移転先としてリストアップされることになったのです。

 当然、都心に近い大規模用地は使い道の用途が多数あり、売り手が優位となります。「それを購入するための交渉がどうなることが一般的か」を理解しなければ、論理的な批判が行われなくなると言えるでしょう。

 

4:豊洲を手放したくない東京ガスから東京都が土地を購入した経緯を忘れてはならない

 東京ガスは子会社が豊洲地区を開発するプロジェクトを発表していました。そこに「市場をさせたい」という思惑を持つ東京都が土地購入をオファーしたという経緯があります。

 なぜ、「水面下で交渉が行われたのか」という委員会で追求がありましたが、これは民間の上場企業が土地を所有していたからです。

 上場企業は株価に影響を与える出来事が発生した場合、速やかに発表する責務を負っています。「東京都が豊洲の土地を買う=東京ガスの豊洲プロジェクトは頓挫=東京ガスの収支に影響が出る」となる訳ですから、「交渉を始める」とニュースが出るだけでも東京ガスの株価は動くことになるのです。

 「豊洲の土地が買える」となれば、マネーゲームとなる可能性もありました。都心近郊の大規模用地が皆無だった訳ですから、憶測など外部からの横槍が入らない水面下で直接交渉することは適切な条件で合意するために最も有効な手段だからです。

 瑕疵担保責任の条項を付けたのは東京ガスが「土地を手放しても良い」と判断させるためのもの。もし、東京ガスに無限責任を要求していれば、豊洲の土地を手放すことはなかったでしょう。

 

 小池都知事は7月に行われる都議会議員選挙まで『豊洲市場への移転問題』を騒ぎ、政局のネタとすることでしょう。都民に「移転可否の判断基準」を示すことなく、安心できないとだけ繰り返しコメントしているからです。

 都民から集めた税金をドブに捨てられるだけの資金力があることは羨ましいかぎりですが、人口流入が起きている東京では待機児童問題や老朽化したインフラの再整備など予算を費やすべき問題が他にもあるはずです。

 それを無視し、『豊洲問題』で政局遊びをする “小池ファースト” の姿勢は大きな負の遺産を都民に残すことになるのではないでしょうか。