「こども保険」という名の “サラリーマン世帯への増税” に反対する

 自民党の小泉進次郎議員ら若手が中心となっている小委員会で子育て世帯への支援として、「こども保険」のいう名称の保険制度を作ろうとする動きが本格化していると NHK が伝えています。

 これはサラリーマン世帯への増税と同じです。公的年金や介護保険の仕組みを参考にするのであれば、雇用者の手取りが減ることを意味しているからです。

 

 「こども保険」というこの構想は、少子化対策として、「公的年金」や「介護保険」の仕組みのように保険料を徴収して社会全体で子育て世代を支援する新たな保険制度を作ろうというもので、29日開かれた自民党の若手議員を中心とする小委員会の会合がまとめました。

 それによりますと今の厚生年金や国民年金の保険料に上乗せする形で、働く人や企業などから幅広く徴収します。徴収した保険料は小学校入学前の子どもがいる世帯に対して、児童手当を増額するなどの形で給付し、保育や幼児教育の負担を減らすことを目指します。

 

 「賃金の 0.1% を保険料率とし、将来的には 0.5% にまで引き上げる計画」と報じられています。

 この仕組みが動き始めると、政治的な目的で数値は簡単に引き上げることができるため、現役世代にとっては迷惑極まりない制度が新たに動き出すことを意味しているのです。

 

 保育についても、1人の乳幼児に月額20万円は注ぎ込まれていることが現状です。これ以上の額を予算として計上することは論外であり、予算配分を間違っていると言えるでしょう。

 要は、「保育園落ちた問題」の騒ぎ自体がナンセンスなことです。

 この問題は「子供を保育園に入れたい保護者の月収が “乳幼児に使われている月の予算額” を上回っているか?」で線引きをすれば済む話です。

 所得基準を上回っている家庭が優先的に入園する権利を持ち、保育園に子供を預けることができるようにします。月収が満たない等で入園させなかった家庭には “乳幼児に使われている月の予算額” を給付する形を採用すれば、文句は出ないはずです。

 つまり、「月20万円を給付しますので自宅で育児しますか?保育園に預けるなら、その20万円は保育料としての扱いになります」との2つの選択肢を提示するのです。その上で、各家庭の価値観に沿って判断を下すようにさせれば良いと言えるでしょう。

 

 「こども保険」の保険料率が 1% にも満たない数値であるなら、社会保険料など予算の大部分を占める項目から必要な予算額を捻出すれば良い話です。

 少子化が国の問題として取り組むのであれば、高齢者への優遇措置を是正しなければなりません。“裕福な高齢者世帯” に強制的に仕送りをさせられている “苦しい現役世帯” には子育てをする余裕がそもそも存在しないのです。

 持続可能を目標にしたところで、割賦式の「こども保険」など迷惑な制度と言えるでしょう。「必要なのであれば、積み立てて用意する」という概念がない訳ですから、支出に歯止めがかからなくなることは目に見えています。

 

 予算の使い方の見直しすら満足に行えない政治家が考える安易なバラマキ策こそ、世間一般を長期に渡って苦しめる原因となるのです。「こども保険」などと誤魔化さず、「増税」だと堂々と言えないようでは真っ当な政策論議になることはないと言えるでしょう。