築地市場の存続を狙う東京都のPTに “大阪府市エネルギー戦略会議” の姿がダブる

 築地市場の移転問題を検証している東京都のプロジェクトチーム(PT)で座長を務める小島敏郎氏が独自試算として「改修に最低500億円が必要」だと発表したと読売新聞が報じています。

 試算の内容には “突っ込みどころ” が満載であり、机上の空論から抜け出すことはないでしょう。ムダを撒き散らすだけに終わった『大阪府市エネルギー戦略会議』の姿がダブって見えます。

 

 東京・築地市場(中央区)の移転問題を検証している都の「市場問題プロジェクトチーム(PT)」(座長=小島敏郎・都政改革本部特別顧問)が29日開かれ、小島座長が築地市場を使い続ける場合にかかる改修費の試算を発表した。

 試算では、設計に1年、工期は6年かかり、最低限の施設改修を行う場合は500億円、温度管理に優れた閉鎖型施設に建て替える場合は800億円かかるとした。築地市場では1991年、建て替え工事を試みたものの、工期が長期化。96年までに約400億円の改修費がかけられたが、総工費の見積もりが3400億円に膨らんだ段階で頓挫した経緯がある。

 

 図面すら存在しない状況で、「設計が1年で済む」との見積もりを立てていることは大甘と言えるでしょう。生鮮食品を扱うはずの市場であるにも関わらず、温度管理や閉鎖型の市場として想定されていない点などは問題としてクローズアップされるべき部分です。

 そして、最大の “突っ込みどころ” は過去に総工費の見積もりが3400億円に膨らんだ時点で計画が頓挫したことを完全に忘れている点です。

 

 小島氏の試算は具体性に欠ける内容であり、PT が示した改修費で工事が完了することはありません。『新国立競技場問題』が築地市場の移転問題でも起きることになるでしょう。

 築地市場の改修工事に着手したとして、工事期間はどのように市場機能を維持すると言うのでしょうか。

 開放型の市場である築地で取引される生鮮食品が工事から受ける影響は大きいものです。建物解体時に発生するアスベストを含んだ粉塵などが開放型の市場であれば、食品類に付着することが十分に考えられるからです。

 築地市場を改修するのであれば、このような問題が発生することは想定されていることであり、それも踏まえて移転という決断が下されたということを忘れてはならないのです。

 

 東京都の PT が行っていることは『大阪府市エネルギー戦略会議』と同じです。

 『大阪府市エネルギー戦略会議』は「埋蔵電力はある」などと主張し、反原発派の主張を大阪府に持ち込みました。しかし、1年間に渡って活動した結果は「埋蔵電力はなかった」というものであり、組織自体が “なかったもの” という扱いで霧散しました。

 大阪や関西圏に残されたのは「原発再稼動を止めたことによる割高な電気代」だけで、アホな政治家が活動家に乗せられて時間と資本を浪費し、そのツケを住民が払わされることとなったのです。

 

 『市場問題プロジェクトチーム』が『大阪府市エネルギー戦略会議』の二の舞になる可能性は極めて高いと思われます。

 このままでは歴史は繰り返され、2度目の茶番劇と言うべき喜劇が東京都で起きることになってしまいます。それを止めなければ、一部が騒いだことによる請求書だけが都民全体に送りつけられることなることを自覚しておく必要があるのではないでしょうか。