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資金調達を多様化したところで、日本語映画を使って海外で稼ぐのは難しいのでは?

 映画を使って日本を国外に PR する狙いを持っているようですが、映画作成の足かせとなっている資金調達に対し、国が支援することで中小の製作会社や独立系クリエイターのための環境を整備すべきとの報告書が取りまとめられたと NHK が伝えています。

 映画産業は立派なビジネスであり、儲けが見込めない分野に投資を呼び込むことはできません。“日本人の感覚” が国外で人気であるとの確証がない限り、資金調達が難しいことに変わりはないでしょう。

 

 政府は、映画産業の発展を通じて日本の魅力を海外に発信するとともに、経済成長にもつなげたいとして、有識者による会議を設け、映画産業の振興の在り方について検討を進めた結果、このほど報告書を取りまとめました。

 それによりますと、中小の制作会社や独立系のクリエーターは、みずから資金を集めて映画を制作する機会が少なく、多くが下請けの状態になっているとして、映画を制作しやすい環境を整備するため、海外やほかの業種からの出資など、資金調達の多様化を国が後押しすべきだとしています。

 

 映画産業は映画館で上映されたり、DVD 化されたり、テレビで放送されたりすることで投資分を回収するビジネスモデルです。“売れる根拠” がなければ、資金調達が困難になることは当然です。

 制作委員会が中心となって作成する現状方式では人気俳優に出演を依頼したり、主人公を心配する恋人役を入れたりと “売れそうな要因” を数多く含まれた企画がプレゼンを通過しやすく、それがマンネリ化を引き起こしているとも言えるでしょう。

 

 日本国内でのヒットを狙うのであれば、日本の人気俳優を出演させ、“制作委員会” に名を連ねるテレビ局などメディアで大々的にキャンペーンを展開すれば、赤字を出すリスクを低く抑えることが可能になると思われます。

 しかし、日本国外でもヒットするかは別の視点が不可欠であることは明らかです。

 なぜなら、感性は国ごとに違って当然です。予想外の大ヒットが起きることはありますが、「映画産業の発展を通じて日本の魅力を海外に発信する」という目標を達成することは難しくなります。ほとんどは “外れ” で、全体としては赤字になるでしょう。

 

 実写映画を作成しやすくするために、ロケの許認可を簡素化するノウハウの共有を図ると言ったところで「映画のために生活道路を封鎖すること」に地元がどれだけ理解を示すかがすべてです。負担に対する見返りを提示できなければ、映画産業に理解が示される土壌ができることはありません。

 日本で映画を撮影したいという日本国外のクルーを呼び込むのであれば、共同制作協定の枠組みを作っておくことが重要になるでしょう。その土台を作るのは政府ではなく、両国で映画作成者として活躍する実務者であるはずです。

 『日本の魅力を海外に発信すること』と『映画産業の振興』は別の問題として取り組む必要があるでしょう。特に、後者については映画産業に関わる人々が自発的に行うべき内容です。政府が乗り出すのは過剰に設けられた規制を緩和する場合に限定されるのではないでしょうか。