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フランス大統領選挙の混迷が深まる極左候補の大躍進

 “極右” のマリーヌ・ルペン候補が注目株となっているフランス大統領選挙ですが、投票まで1ヶ月と迫った現時点で混迷の度合いがさらに強まっています。

 大統領選挙に対する世論調査を行っている BVA によりますと、ジャン=リュック・メランション氏が支持を急速に伸ばしているとの結果(PDF)が出ているからです。“極右候補” と “極左候補” による決選投票という前代未聞の出来事が起きる可能性も十分にあると言えるでしょう。

 

 2月以降に行われた世論調査で主要候補の支持率は以下のように推移しています。

画像:2017フランス大統領選、有力候補の支持率の推移

 

 2月中はルペン候補が支持率トップでしたが、3月以降は本命視されるマクロン候補と同じ水準で推移している状況です。ただ、「組織票に強みがある」と見られているだけに、ルペン候補が決選投票に駒を進める可能性は依然として高いと言えるでしょう。

 その中で、決選投票に駒を進める可能性を持った候補が突如として出現しました。それは “極左” のメランション候補です。

 

 テレビ討論で有権者にアピールできたこともあり、不人気である与党・ハモン候補の支持者を鞍替えさせることに成功したと考えられる数字が残っています。

 「左派系の票を取りまとめる」、もしくは「投票率が低くなる」という状況になれば、組織票を持つメランション候補が決選投票に残る可能性は十分にあります。

 1度目で過半数を集める候補が出現することは非現実的で、決選投票に進んだ候補の中からマシな方を選ぶという “消極的な判断” をする有権者も多数存在するでしょう。そのため、1回目は面白半分で「極右や極左の候補」に票を投じるという “悪ふざけ” をする有権者がいることも考慮しておく必要があるのです。

 マクロン氏が決選投票の候補者であれば、相手がルペン候補でもメランション候補でも勝利すると調査結果で出ています。しかし、冗談で投票をする有権者が現れた結果、マクロン候補の票が伸び悩むことは十分にあり得ることなのです。

 

 ちなみに、メランション候補が主張する政策として、以下のものがあります。

  • EU の緊縮策に反対
    → 1000億ユーロ(約11兆6000億円)の景気刺激プログラムを実施
  • 自国経済の主権拡大を求め、EU 条約の再交渉
    → 自由貿易協定からの撤退
  • 従業員解雇の制限
  • 経営幹部への報酬規制
  • 最低賃金の 15% の引き上げ
  • 年金支給年齢を一部で60歳に引き下げ
  • 富裕層への 100% 課税
  • NATO から離脱

 内容としては「オランド大統領が実行して大失敗した政策をさらに過激にしたもの」が並んでいます。実行に移せば、経済状況は悪化することになりますが、一時的に労働者が恩恵を受けることができるため、熱烈な支持を受けていると言えることでしょう。

 生産効率が著しく悪い国に多額の投資を行う民間企業は極めて例外的です。リスクとして事前に分かっている中で投資をしようものなら、経営陣は背任で訴えられるリスクがあり、敬遠することが最も適切な判断となるからです。

 自国で富を作り出せない経済環境となれば、ジリ貧になることは火を見るより明らかです。産油国など限られた一部の資源国でない限り、「儲けを出す民間企業や従業員が相応の対価を得ること」を正当化しなければならないのです。

 

 とは言え、誰に投票するのかはフランスの有権者が決めることです。オランド大統領が失敗した経済政策を踏まえた上で、次期大統領に何を期待しているのかを見守る必要があると言えるでしょう。

 日本でも同じように “バラマキ型” の手法で経済が上向くと主張する勢力が存在します。予算の元となる税金(企業が収める法人税や従業員が収める所得税)などが減少してしまっては費やすことができる額に大きな制約が出てくることになるのです。

 荒れ模様となってきたフランス大統領選はどのような結末を迎えるのかに注目する必要があると言えるのではないでしょうか。