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トルコ・エルドアン大統領が憲法改正の国民投票で勝利、権力基盤が揺らぐ EU との違いが浮き彫りに

 トルコで大統領の権限を強め、大統領制に移行する憲法改正に対する国民投票が行われた結果、賛成が過半数を占めたと NHK が伝えています。

 これにより、エルドアン大統領の権力基盤が強化されることとなりました。その一方で EU は一枚岩とは言いがたく、ヨーロッパ側は難しい対応が迫られることになるでしょう。

 

 トルコでは16日、これまでの議院内閣制から大統領制に移行する憲法改正案について国民投票が行われ、開票がほぼ終わった時点で賛成票が51.4%と反対票の48.6%を上回り、選挙管理委員会は賛成が過半数を占めたと発表しました。

 エルドアン大統領は、大勢が判明したあとイスタンブールで記者会見を開き、「国民の力で、トルコの歴史上最も重要な憲法改正をなしとげた」と勝利を宣言しました。

 憲法の改正によって、今後、首相職は廃止され、大統領が閣僚の任命や非常事態令の発令の権限のほか司法にも影響力をもち、絶大な権力を握ることになります。

 

 沿岸部など比較的裕福で世俗的な地域を除くエリアが国民投票で賛成票を投じたと言えるでしょう。エルドアン大統領を支持する人々が多いエリアと言い換えることができます。

 大統領が絶大な権力を握ることは独裁政権となるリスクはありますが、安全保障体制の構築を一貫できるという点ではメリットがあります。ヨーロッパのリベラル派はこの点を軽視しすぎていることがネックになったものと考えられます。

 

 EU としてはエルドアン大統領の権力基盤が強固になったことは “頭痛の種” になると予想されます。なぜなら、シリアからの難民問題の対応をトルコに押し付けることが難しくなるからです。

 “人道” を理由にキレイゴトを述べ、トルコに様々な注文をつけていますが、この効果が薄れることでしょう。

 議院内閣制であれば、ヨーロッパの主張に同調する政党が一定数の影響力を持ちますが、大統領制では排除されることとなります。つまり、トルコが強硬な態度を採った場合にヨーロッパ側の肩を持つ政党の発言力が低下することになるのです。

 トルコ政権の足元をぐらつかせ、譲歩を迫り続けた手法が無効化された訳ですから、主導権はトルコ側に傾きつつあると見ておく必要があるでしょう。

 

 ヨーロッパでイスラム過激派のテロ行為が起きている状況を鑑みた場合、トルコが安定を求め、権力基盤を強化する動きが出ることは当然です。

 “人道” を振りかざす欧州ですら、そうした方向に舵を切っている中で、トルコが同様の行為をすることは許さないと主張することは明らかなダブルスタンダードです。この事実を認識できていないため、リベラルの不寛容さが浮き彫りとなって支持を失っているのです。

 寛容さを持ち合わせているなら、ヨーロッパへの移住を熱望する自称・難民をトルコに押し返すような真似はしないはずです。しかし、現実には不寛容な姿勢を示しており、矛盾を克服することが EU 側の大きな課題と言えるでしょう。

 

 EU や人権派がどれだけ文句を言ったところで、トルコは大統領制に移行し、エルドアン大統領の権力基盤が強化されたのです。その上で、適切な関係を構築することが不可欠なのです。

 手のひら返しをした場合、報復を行うことに対して躊躇することもなければ、歯止めも弱くなっていることを自覚する必要があります。ヨーロッパが自らの火遊びで大火傷をする可能性はそれなりの確率で存在していると見るべきなのではないでしょうか。