暴風で太陽光パネルが吹き飛ぶ事故が発生、設備点検がザルだったことが浮き彫りに
低気圧による暴風が吹き荒れた福島県いわき市で太陽光パネルが駐車していた車両の上に落下する事故が発生したと河北新報が伝えています。
パネルが1列まるごと落下した状況です。固定されていなかったと報じられており、設備点検を怠ったツケが回ってきたと言えるでしょう。
発達した低気圧の影響で暴風が吹いたいわき市で19日夜、二つの災害公営住宅の屋上に設置された太陽光発電パネルが架台ごと相次いで落下し、入居者の自家用車が壊れるなどの被害が出た。けが人はなかった。市はパネルを設置した太陽光発電事業者から事情を聴くなど原因を調べている。
(中略)
パネルは、再生可能エネルギーの利用拡大などを目的に公共施設の屋根を有償で貸す市の事業の一環で、市内の2業者がそれぞれ設置した。架台は同じ構造の置き型で、屋上に固定されていなかった。
きちんと固定されていない太陽光パネルは風や地震で屋上から落下することはリスクとして十分に考えられることです。
「屋上に固定すること」は設置の条件になっていることが一般的であると考えられるため、“手抜き工事” の可能性が現時点では高いと言えます。同様の問題を抱える太陽光パネルは他にも存在すると思われるため、設備点検が必要となるでしょう。
しかし、点検をするだけでは意味がないことは明らかです。不備が発覚したとしても、対策が完了するまではリスクは残存するからです。
自治体が行政指導をしたところで、業者が無視すれば、意味がないのです。行政指導を無視して積み上げられた建設残土が土砂崩れを起こしたケースもありました。そのため、対策実施にどう強制力を持たせるかを考える必要があるのです。
実際に起きる可能性が高いケースとしては、施工業者が倒産している場合でしょう。アフターフォローは不可能になっており、誰かが費用を捻出することを強いられることが考えらえるからです。
施工責任と管理責任の所在を明確にしておくことは欠かせません。FIT の関係で太陽光バブルが到来しましたが、固定買取額が引き下げられたことで悪質なケースによる事故が散見されることになるでしょう。
その対策を打ち出すのは “反原発” を訴え、再生可能エネルギー促進を推し進めてきた人々・団体です。
儲けは自分たちだけで囲い込み、コストは社会全体に押し付けようとする姿勢は反感を買うことになります。長所と短所がある訳ですから、長所だけをアピールすることは不公平と言えるでしょう。少なくとも、デメリットは率先して引き受けなければなりません。
クリーンな発電手法であるなら、発電によって生じるデメリットを吸収する仕組み作りは不可欠です。それを怠り、イメージ戦略だけを前面に押し出す姿勢は世間を騙すことと同じであることを認識する必要があると言えるのではないでしょうか。