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フランス大統領選:マクロン氏とルペン氏が決選投票に進むも、二大政党の候補者が共に敗退という異例の事態に

 “極右候補” の躍進が注目されたフランス大統領選ですが、メディアの事前予想どおりマクロン氏とルペン氏が決選投票に駒を進めたと NHK が伝えています。

 おそらく、中道・マクロン氏が “極右” ・ルペン氏を下し、新大統領に就任することになるでしょう。ただ、共和党と社会党というフランスの二大政党から出馬した候補者がどちらも決選投票に残れなかったという異例の事態が起きており、先行きの不透明感は否めないと思われます。

 

 フランスの大統領選挙は23日投票が行われ、現地のメディアは、中道で無所属のマクロン前経済相と極右政党・国民戦線のルペン党首の2人が、来月7日に行われる決選投票に進むことが確実になったと伝えました。決選投票では、2人の主張が大きく異なるEU=ヨーロッパ連合との関係や移民問題などをめぐって、激しい選挙戦が繰り広げられることになります。

 投票前から本命と見られていた候補者2名が順当に決選投票に駒を進めたと言えるでしょう。

 その一方で、フィヨン氏(共和党)は勤務実態のない自らの家族に対して給与を支払っていた問題で失速。アモン氏(社会党)はオランド・現政権の経済政策が失敗に終わったことで支持率が伸び悩み、存在感はゼロになる有様でした。

 

 さて、肝心の決選投票ですが、「マクロン氏が圧倒的優位」とマスコミが応援キャンペーンを展開しています。ただ、“反ルペン” で結束する割に得票率が 60% 台と予想されている点が懸念されることでしょう。

 逆に言えば、国民の4割弱はルペン氏の方針に賛同していることになるからです。

画像:BBCが掲載したマクロン氏とルペン氏の得票率

 その要因となっているのはフランスが “東西問題” を抱えているからだと言えるでしょう。

 マクロン氏が強いのは比較的裕福な地域が中心です。首都パリ、北西部のブルターニュ地方、ナント、ボルドー、オーヴェルニュ(ミシュランの本拠地)がその代表例です。

 対するルペン氏が強いのは「ベルギーとの国境沿いの地域」や「地中海沿岸の地域」。移民・難民がまず最初に押し寄せるのはフランス国内では上記の地域であり、それが如実に現れた結果だと言えるでしょう。

 

 絶対数ではマクロン氏を支持する側の多数派になると見られるため、大統領選の結果による分断が起きる可能性は低いと思われます。しかし、6月には国民議会の総選挙があるのです。むしろ、注目点はこちらだと言えるはずです。

  • 与党:340
    • 社会党:292
    • 緑の党:16
    • 左翼急進党:16
    • 左翼戦線:15
  • 野党:237
    • 共和党:199
    • 民主独立連合:30
    • 国民戦線:2

 議会選挙も大統領選挙と同じで “二段階方式” が採用されています。

 1度目で「全有権者の 25% 以上の投票があり、得票率で 50% 以上を獲得」すれば勝利となります。しかし、この条件を満たす候補者が出ることは非常に稀であり、ほとんどは上位2候補者による決戦投票で議席を確定することになっているのです。

 定数577はすべて二段階方式の小選挙区制で決定します。不人気であることが浮き彫りになった与党・社会党の候補は決選投票に残ることでさえ、非常に困難が伴うことになるでしょう。

 

 決選投票方式が採用されていれば、“極右” 候補の躍進を抑えられるでしょう。なぜなら、左右に関係なく、極端すぎる候補は敬遠されると考えられるからです。

 ですが、既存政党が問題を解決することに奔走しないのであれば、話は別です。

 ルペン氏が大統領選で勝つ可能性は低いと見られていますが、その1ヶ月後に行われるであろう国民議会の総選挙でルペン氏が率いる国民戦線が大躍進する可能性は十分にあるのです。

 小選挙区であれば、その選挙区での多数派が議席を得ます。フランス北東部や地中海に面する南岸地域で国民戦線が議席を獲得し、ルペン氏が国民議会の議員なることは十分に起こり得ることでしょう。

 

 マクロン氏は新党を旗揚げし、自身のシンパをできるだけ多く議会に送り込む算段を持っていると思われますが、政策面で既存政党を選挙で破るだけの違いを示すことができるかが鍵となります。

 「ポピュリストの波は終わった」と油断しているマスコミは議会総選挙で第二波の直撃を受けることになるのではないでしょうか。