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メタンハイドレートからのガス採取に成功、今後1ヶ月の安定的な採取が可能かの実証試験が行われる

 資源エネルギー庁が「メタンハイドレートからのガス採取に成功した」と発表したと NHK が伝えています。

画像:メタンハイドレートからのガス採取成功を伝えるNHK

 メタンハイドレートは天然ガスと水が結びついたシャーベット状の物質で、日本近海に広く分布していると見られています。“燃える氷” とも呼ばれる新しいエネルギー源の開発が進んでいることは良い流れと言えるでしょう。

 

 独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、4日午前10時ごろ、愛知県と三重県の沖合で、水深1000メートルの海底からさらに350メートルほど掘った地層にあるメタンハイドレートからガスを取り出すことに成功しました。

 メタンハイドレートは、天然ガスと水が結びついてシャーベットのような状態になった天然資源で、日本近海に広く分布していると見られ、純国産のエネルギーとして実用化が期待されています。

 

 「天然資源はほぼゼロ」が当たり前だった日本で、メタンハイドレートが実用化されることは経済インパクトの大きい出来事となります。ただ、課題がない訳ではありません。

  1. 抽出技術の確立
  2. 生産コストの引き下げ

 これら2点が現状で明らかになっている課題ですが、克服するための研究費を出す意味はあります。その理由を整理することにしましょう。

 

1:抽出技術の確立ができなければ、話にならない

 メタンハイドレートの抽出技術はまだ確立されていない実験段階の状況です。4年前に世界で初めて取り出しに成功した時は「ガスを引き上げるパイプに砂が混入する」というトラブルが生じ、実験が打ち切られることとなりました。

 トライアル・アンド・エラーの段階でトラブルが起きることは問題ではありません。「解決策を講じることができ、事態が改善するか」が大事であり、研究段階でのミスを声高に叫ぶ意味はないのです。

 まずは、「メタンハイドレートからガスを安定して抽出するための技術を確立できるか」が1つめのハードルです。これができなければ、“夢の純国産天然資源” のままで終わることでしょう。

 

2:生産コストが石油・天然ガス・シェールガスに匹敵する必要はない

 メタンハイドレートを商業利用するために必須である “ガスの抽出技術” が確立されると、次に「どの価格なら、採算が取れるのか」が焦点になります。

 経済学を専門とする人々からは「石油や天然ガス、シェールガスなどと張り合えないと苦しい」との懸念が出てくることでしょう。しかし、日本の場合はそこまで高望みする必要がないことも事実です。

 なぜなら、日本は地政学的なリスクを抱えており、ある程度の価格であれば容認されるからです。

 石油や天然ガスは中東からの輸入に依存していますが、中国の海洋進出によるリスクは決して無視できるものではありません。中東での紛争でホルムズ海峡が封鎖されたり、中国が海洋封鎖をするリスクによる影響を回避できる能力を持つ純国産のメタンハイドレートに期待する価値はあると言えるでしょう。

 FIT による太陽光発電の買取価格を下回る生産コストであれば、世間からの文句は大きくならないはずです。そこまで低くすることができるかが2つめのハードルとなるでしょう。

 

 今回の採取期間は約1ヶ月と予定しているとのことですので、6月まで安定してガスを取り出すことができるかが注目点と言えるでしょう。

 来月のニュースで「愛知県と三重県の沖合で行われていたメタンハイドレートからのガス採取は予定どおりの期間で終えることとなりました」という各社の報道部が “ニュースとして流す価値なし” という判断をするような結果になることを期待したいと思います。