女子ゴルフ人気は「実力がないことを受け入れ、“それ以外の部分” で魅力度をアップさせたこと」が理由である

 “美女ゴルファー” が牽引する形で「女子ゴルフブーム」が起きています。

 人気の秘訣は『ホスピタリティ』との記事が雑誌 Number のウェブ版に掲載されていますが、『ホスピタリティ』に力を入れることを決断した理由は確認しておく必要があると言えるでしょう。

 

1:「世界一の実力」が最高の宣伝であり、収益源である

 スポーツの世界でスポンサーを獲得する際、『世界一』という看板は大きな武器になります。「メディアなどへの露出の多さ」と「スポンサーのメリット」と比例関係にあり、宣伝効果を求めて世界中からスポンサーを獲得できるからです。

 もちろん、『日本一』の称号も方向性は同じです。ただ、グローバル化が進んだ現代では誰でも「世界最高峰のプレー」を見ることはできます。

 

 そのため、実力だけでスポンサーを獲得することができるのは世界最高に位置する一握りのトップアスリートだけに限定されていることが現実なのです。

 このことを受け入れない限り、スポンサーを呼び込むことはできなくなります。なぜなら、大部分の企業にとっては “傲慢で高飛車な姿勢” は企業理念と反するため、スポンサーを務める理由を見つけられないからです。

 

2:実力が不足しているのであれば、何をセールスポイントにするかが重要

 スポーツを中心に放送する ESPN が "Branded" という番組を放映した際に、ある女性アスリートが次のような不満を述べるシーンがあります。

 「男性アスリートは醜い容姿でも、全身にタトゥーを入れていてもスポンサーを得られる。でも、私達女性は “セックスシンボル” としてでなければ価値がないと見られている。これは女性差別だ」

 こうした意見を持つ女性アスリートがいる一方で、真逆の意見を持つ女性アスリートも存在します。もし、アスリートとして評価されたいのであれば、上記の意見は論外と言えるでしょう。

 『世界一の才能』を持っているのであれば、スポンサーを獲得できます。ルックスが良く、品行方正であれば、より多くのスポンサー料を手にすることが可能になるでしょう。『世界一の才能』は「タトゥーを入れている」や「美男美女ではない」というマイナス面を大きく凌駕するだけの価値があるのです。

 ただし、この『世界一の才能』は “女子〇〇の世界一” という形でカテゴリを限定してしまうと、途端に価値がなくなります。「女性の社長が率いる会社で世界一」という宣伝文句が世間からどう見られるかを考えると、イメージしやすいと言えるでしょう。

 

3:ファンサービス、メディア対応、ホスピタリティ等は実力不足を補える要素

 『世界一の才能』を持つアスリートの数は限定されるため、基本的に “売り手市場” となり、アスリート側が優位になります。

 しかし、これは例外的なケースであり、ほとんどの場合は「スポンサーになってもらう」ことが不可欠な状況です。そのため、「世界一の才能を持つアスリートが行っているファンサービス、メディア対応、ホスピタリティなどを上回る “何か” を提供すること」がスポンサー獲得に直結します。

 要は、実力で足りない部分を別の要素で補い、トータルの魅力度で勝負するという戦略です。

 日本の女子ゴルフツアーは『ホスピタリティ』に力を入れ、それが結果として現れたと言えるでしょう。選手に社会人としてのマナーを身につける場を提供し、大会スポンサーを務める企業に対し、選手自らがプロアマ交流会などを通して “営業攻勢をかける” という方針が功を奏したのです。

 「美人女子プロゴルファーによる接待ゴルフ」と露骨に表現することもできますが、違法ではありませんし、コンプライアンスに抵触するものでもありません。大会を主催するスポンサー企業が増え、成功するチャンスが高まった訳ですから、選手に対する見返りは相当大きいと言えるでしょう。

 

4:フェミニストの方々は “美人女子ゴルファーブーム” を批判しないの?

 余談ですが、日頃は「女性がルックスを武器にすること」を目の敵にするフェミニストは日本の女子ゴルフブームを批判しているのでしょうか。

 あまり、そのような声がメディアなどに取り上げたことはないように思われます。“韓国人の美人ゴルファー” にスポットが当たっているため、批判することを自粛しているのであれば、フェミニストの活動自体が疑われる要因になります。

 いつもと同じように「女性に対する性的搾取だ、女性軽視だ」との声をあげなければなりません。その際は「女子ゴルフのさらなる発展に向けたプロジェクト内容」もセットで公表すべきでしょう。

 ブームはいずれ収束するため、競技を普及・定着させることが女子ゴルフ界の課題です。それに向けた動きは既に始めているのでしょうが、上手く結果を残すことができるのかが注目点だと言えるのではないでしょうか。