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週刊文春のように “他社の情報” を平気で盗むのであれば、取材源を秘匿する意味は大いにある訳だ

 『週刊文春』がライバル誌である『週刊新潮』の中づり広告を出版取次会社の『トーハン』から事前入手していたと朝日新聞が伝えています。

画像:週刊新潮の広告

 発売前の漫画がネット上に流出したことが過去に問題になっていましたが、ライバル誌の情報を事前に不正入手の姿勢は「入手した側」も「手渡した側」も厳しく罰せられるべきと言えるでしょう。

 

 出版取次会社「トーハン」(東京)が、週刊新潮(新潮社)の中づり広告をライバル誌である週刊文春(文芸春秋)側に渡していたことが、トーハンへの取材でわかった。中づり広告は、発売される週刊誌の掲載内容を一覧で示したもの。同社は「他社に関する情報なので配慮すべきだった」として、今後は取りやめることを検討している。

 “出版取次” への逆風が吹き荒れる中で『トーハン』が起こした不祥事は風当たりがさらに強くなる理由になるでしょう。

 電子版の普及によって、出版数は減少。都市部では本屋ではなく、コンビニが大口顧客となっています。また、取次を使わないアマゾンが台頭するなど出版取次業界自体が斜陽化しているのです。

 この状況下で、渡してはいけない情報を渡していた実態が明るみに出た訳です。『トーハン』は情報を不正に入手していた『週刊文春』とともに責任を取らなければなりません。

 

1:文春の弁解は通用しない

 『週刊文春』は公式サイト上で新谷学編集長名義による弁明を行っています。

 「週刊文春」が情報を不正に、あるいは不法に入手したり、それをもって記事を書き換えたり、盗用したりしたなどの事実は一切ありません。

 スクープは盗んでいないし、社会的に興味・関心が高いニュースを追いかけるのはメディアの本質で、他社の動向をチェックすることは自然なことと説明しています。

 この説明自体は論理的なものですが、本質的な問題を意図的に触れず、収束に向かわせようとする意図が見え見えです。この問題を『週刊文春』側の人間が処分なしで終えることはできません。

 マスコミによる取材過程で起きた不正問題であり、『週刊文春』の編集長・新谷学氏と発行元である『文藝春秋』の社長・松井清人氏の責任問題と言えるでしょう。

 

2:「不正に入手したライバル誌の広告内容を見て、自社広告を変更できること」が問題

 新谷氏は「取材はギリギリまで行っているため、締め切りにタイムラグがある中吊り広告と新聞広告でその内容が異なることは決して珍しいことではありません」と説明していますが、元・文春の記者が最大の問題を指摘しています。

 裏取りを含めた取材から執筆を行い、校了をするまでに1日ほどでできるケースはほぼ例外的な場合に限定されるでしょう。

 しかし、ライバル誌の中吊り広告の内容を事前に入手しているなら、自社の広告内容を変えることはできます。具体的には「週刊新潮の取材内容が明らかに進んでいることが広告から判明すれば、週刊文春の記事を中吊りでの扱いを小さくする」という “姑息な手段” が使えるのです。

 

 これは不正と呼ぶべき行為でしょう。

  1. 「▲▲にスキャンダル浮上」
  2. 「▲▲にスキャンダル、疑惑の人物に直撃」

 同じネタを取材していれば、自誌が A の状況、ライバル誌が B の状況になる場合が起こりえます。“B の状況” の方が好ましいことは言うまでもないことです。

 しかし、『週刊文春』は事前に不正入手した『週刊新潮の中吊り広告』から、自誌が “A の状況” にあると事前に判断できるのです。

 その時点で文春の記事をボツにしたり、扱いを小さくすることで「文春は新潮に遅れを取った」と読者に受け止められることを回避することが可能になります。

 新潮のスクープを潰すことは困難を伴いますが、自分たちだけ失態を 100% 回避できるのです。「広告と記事の内容が変わる場合がある」と主張したところで、説得力を欠いている実態を変えるまでには至らないでしょう。

 

 まずは『週刊文春』が自分たちの情報入手に問題があったことを認め、非を詫びなければなりません。もちろん、文春側に情報を流していた『トーハン』も同罪です。

 出版不況と叫ばれていますが、出版業界の中から情報を平然と漏洩させている企業が首を絞める要因になっているのです。販売前の漫画などがネット上に流出した問題でも、内部の犯行を前提にした対策が不可欠と言えるのではないでしょうか。