教師になるには教員免許が不可欠なのに、素人同然の教師が運動部の顧問を務めさせられることはおかしい

 教員が長時間労働に置かれる原因となっている「部活動の顧問」について、スポーツ庁はガイドラインの作成に乗り出すことになったと NHK が伝えています。

 少子化の時代とは言え、少子化を上回るペースで仕事量が増加していることが問題の根幹にあるのです。この点を改善するよう求めることが『日教組』が優先的に行う活動と言えるのではないでしょうか。

 

 運動部の部活動をめぐっては、教員の勤務時間の増加や競技の経験がない教員が顧問を務めざるをえないことなどが問題になっています。

 これを受けてスポーツ庁は、専門家などによる検討会を設置して部活動の在り方についてのガイドラインを作成することになり、29日、第1回の会合が開かれました。

 この中では去年、国が行った調査で、1週間のうち1日も休養日を設けていない中学校が22%、土日に休養日を設けていない中学校が43%に上っていることや、中学校の教員の土日の勤務時間は、部活動の対応などのため10年前のおよそ2倍に増え、負担の増加が深刻になっている現状が説明されました。

 

 

教職に就くには教員免許が必要という原則を運動部の顧問にも適応すべき

 教員になるためには免許が不可欠です。小中高は別々の免許となっており、中学・高校では教科ごとに免許は分かれています。

 美術教師が美術部の指導することは教員免許で担保された能力の延長と言えるでしょう。音楽教師が吹奏楽部を見ることも同様と言えるはずです。

 しかし、体育教師の免許を持たない教員が運動部の顧問を務めることが強要に近い形で行われていることは問題です。これは教員資格を持たない人物が教師としての立場を得ていないことと変わらないため、指導面で問題が起きる可能性が高いからです。

 運動部の顧問についても、教員免許と同じような形でライセンスを発行し、教員でなくても指導ができるという体制を整える必要があると言えるでしょう。

 

少子化の影響で生徒数が減少しても、仕事量が倍増すれば教員の負担は増す

 少子化が進む現代において、中学教員の土日の勤務時間が10年前の2倍に増えているということは明らかに異様です。

 普段の授業を行うための準備など、本来の業務に対する支障は既に生じていることでしょう。生徒数によって教員数は決められていると思われますが、生徒1人に対する業務量が増えているようでは対応しきれなくなって当然です。

 学校側に対応を丸投げする無責任な保護者が増えれば、教員のリソースが消耗される訳ですから、“教育の質” が低下する事態を招きます。

 そうなると、裕福な世帯が相対的に優位となるでしょう。なぜなら、子供を塾に通わせるなど資金力を使ったバックアップができるため、学校以外で学力を伸ばすことへのハードルが低いことの恩恵を受けられるからです。

 

教職員を過剰勤務から守るために日教組は汗をかくべき

 日教組という組合が存在するにもかかわらず、クラブ活動などで教職員が疲弊している現状に対して積極的な要望を述べていないことは組織という点で大きな問題があるでしょう。

 “平和教育” を実践したいのであれば、それを行う教職員は不可欠であるはずです。しかし、実際には長時間労働で教職員が疲弊していることが問題としてメディアに取り上げられている訳ですから、「教職員組合としての役割を全うしていない」と批判が起きても不思議ではありません。

 なぜ、日教組は「部活動の顧問についての問題」から距離を取ろうとするのでしょうか。期待されている本来の役割をせず、政治的な主張を行うための頭数としか教職員を見ていないから組織率が低下することになっていることを自覚しなければなりません。

 教職員の生活を守るべき管理体制の見直しに着手せず、自らの政治的イデオロギーを満たすために活動する勘違いな人物が権力側に居座り続けるかぎり、教職員の負担が軽減されることはないと言えるのではないでしょうか。