あぜ上三和子都議(共産党・江東区選出)、 “地上も地下も危険な” 豊洲市場を児童施設にすべきと演説で主張

 築地市場の豊洲移転に反対する共産党ですが、江東区選出の都議会議員・畔上三和子(あぜかみ・みわこ)氏が5月21日に行われた日本共産党演説会で驚くべき主張を展開しています。

 共産党は「豊洲は地上も地下も危険」と主張し、安全ではないことを理由に築地市場に留まることを訴えています。しかし、危険だと訴えている豊洲市場を児童施設として活用しようと呼びかける姿勢は明らかに矛盾しています。

 

 問題の発言は動画開始から15分過ぎのことです。あぜ上都議の12分09秒からの演説内容の書き起こしは以下のとおりです。


 18日に行われた東京都の専門家会議というところがあるのですが、そこの平田座長さんという座長さんは「地上は安全だ」と前回の専門家会議で仰った方なんですけれども、その方は市場関係者の皆さんに「本当に安全なのか」と。どうなんだと詰め寄られたら、こう仰いました。

 「汚染は残ります、環境基準以下にはできません」

 皆さん、そして東京都の中央卸売市場の市場長はこう言いました。「無害化するという当時の約束については達成していないことは事実でございます。真摯に受け止めております」とこう言ったんです。

 つまり、東京都も都民に約束した2つのことは守ってなかった、守れなかった。そのことがはっきりした訳です。安全が確認されない以上、市場移転はきっぱり中止するのが当然ではないでしょうか。

 (拍手が起きる)

 

 「そうは言っても、あの建物を見ちゃったらなぁ」と。とりわけ、この江東区民の皆さんからはそういう声を頂きます。「もったいないなぁ」と。そういう気持ちを私も十分に分かります。

 しかし、ことは食の安全の問題です。命と健康に関わる問題。いささかも疎かにする訳にはいかないではありませんか。

 (「そうだ」との賛同の声と拍手が起きる)

 

 そして安全が確保されていない、そんな市場をもしこの豊洲の地域の皆さん、江東区民の皆さんが抱えることになったら。地震が起きたらどうなるのか。まさに、リスクを大きく抱え、そして大打撃を受けるのは江東区民の皆さんではありませんか。

 (「そうだ」との賛同の声と拍手が起きる)

 

 じゃあ、建物そして土地はどうするのか。共産党はどう考えてるのか。まあ最近は良く聞かれます。

 私は実は3月の都議会で小池知事にこう言ったんです。「市場としては使うことはできないが、あそこを現地、調査をしたら、本当に建物は簡易な建物だ。だから、都民の皆さんの英知を結集して活用は考えればいいじゃないか」と。このように提案をさせて頂きました。

 地元の皆さんからは例えば足立区のギャラクシティーという無料で入れる子供たちの児童館が本当にのびのびと遊べる児童館がありますが、「こういうギャラクシティーをあそこに作って欲しいなぁ」。こんな声が寄せられたり。

 また、中小企業の皆さんからは「展示場が足りないんだ、何とか中小企業のための展示場を作って欲しい」。こういう声も寄せられています。

 こうした皆さん方の英知を結集して、食べ物を扱うものでない、市場でない本当に都民の皆さんの暮らしを豊かにするようなものに活用させて行こうではありませんか。

 (拍手が起きる)


 

共産党の主張する『命と健康』に子供は含まれていない

 「暮らしと安全を守る」と訴えている共産党ですが、あぜ上三和子都議(江東区選出)の演説でそれが欺瞞だったことが浮き彫りになったと言えるでしょう。

 『鮮魚』の施設はダメだが、『児童』の施設は OK と主張していることになるからです。

 “児童施設を開設できる環境” であるなら、十分に安全と言えるでしょう。なぜなら、築地市場はアスベストがむき出しであり、耐震性も不足しており、児童施設として利用するための条件を満たしていないからです。

 『命と健康』を大事にすると言っておきならがら、共産党が「危険だ」と訴える場所に児童施設を作ろうとする。共産党が掲げている方向性と矛盾しているではありませんか。ご都合主義にも限度がります。

 

平田座長は「地上は安全、地下は科学的知見で対応可能」と述べている

 共産党の志位委員長は「こんなひどい汚染を取り除くことは不可能」と主張していますが、東京都の平田座長は「地上は安全、地下は科学的知見で対応可能」との見解を示しています。

 データや技術的根拠を示した専門家会議の見解を否定するのであれば、技術的根拠が欠ける部分を具体的に指摘しなければなりません。

 “安心・安全” を根拠に否定して良いなら、「暴力革命を目指す共産党の存在は安心できない」との気持ちが共産党および関係者を取り締まる『正当な理由』となるからです。そのことを理解していないことは致命的と言えるのではないでしょうか。

 

「豊洲市場に移転しなければ、地震が起きても江東区の影響は限定される」という馬鹿げた理論

 共産党は「豊洲の土地はケタ違いに汚染が深刻」と述べてのですから、「地震が起きれば、豊洲市場の存在がリスクになる」との主張は荒唐無稽なものです。

 地震が発生した場合をケースごとに分類するとイメージしやすいでしょう。

  1. 豊洲の土地が汚染されている(共産党の主張)
    1. 移転前に地震:土壌から有害物質の排出リスク
    2. 移転後に地震:土壌+市場から有害物質の排出リスク
  2. 豊洲の土地は汚染されていない
    1. 移転前に地震:有害物質は出ない
    2. 移転後に地震:市場から有害物質の排出リスク

 共産党が主張する「豊洲の土地が汚染されている」という前提では、築地市場が移転していようとしていなかろうと地震が発生した際に汚染された土壌で打撃を受けることになります。

 つまり、「市場が移転されているか」はリスク要因ですらないのです。

 しかし、あぜ上三和子都議は演説で「市場を抱えることになったら、豊洲や江東区がリスクを背負うことになる」と主張しています。これは上記 “2-b”(もしくは “1-b”)に該当することであると理解して発言しているのでしょうか。

 

 要するに、「築地市場は地震で周囲に環境汚染を引き起こす機能を有する施設」だと述べているに等しいのです。そのような有害施設であるなら、移転に反対することは共産党の理念に沿ったものでしょう。

 共産党本来の役割を果たすのであれば、「地震で周囲に環境汚染を引き起こす施設は即時閉鎖すべき」と訴えていなければなりません。築地市場関係者の利権確保のために都民に余計な出費を強いることを何とも思わない共産党こそ、猛省すべきではないでようか。