「防衛費を GDP の 2% 引き上げる」という方針を示した自民党・安保調査会は立派だ

 NHK によりますと、自民党の安全保障調査会が「NATO を参考に、防衛費を GDP の 2% にまで引き上げることを目標にする」という提言案をまとめたとのことです。

 日本の防衛費は GDP 比で 1% を切っている状況です。『日米同盟』があるとは言え、いつまでも “タダ乗り” ができないと自覚しているだけ自民党の方針はマシと言えるでしょう。

 

 提言の案は、次の中期防=中期防衛力整備計画の策定に向けた政府への提言の中間整理としてまとめられたもので、この中では、北朝鮮の核、ミサイル開発について、「新たな段階の脅威となっている」としたほか、中国の海洋進出への懸念なども指摘しています。

 そのうえで、GDP=国内総生産の1%を超えない程度で推移している日本の防衛費について、「NATO=北大西洋条約機構がGDPの2%を目標としていることも参考にしつつも、あくまでも必要不可欠な装備の積み上げの結果に基づいて判断するものとし、厳しい安全保障環境を踏まえて十分な規模を確保する」としています。

 そして、防衛力の強化に向けて、独自の早期警戒衛星の保有を検討することや、自衛隊がサイバー攻撃の能力を備えることなどが必要だとしています。

 

 自民党の安保調査会が提言した内容はいずれも現実的な考えに基づく、妥当なものと言えるでしょう。『中国の海洋進出』は懸念事項ですし、『北朝鮮の核』も脅威として対応しなければならないことは明らかです。

 また、日米同盟にフリーライドする状態となっていることに加え、サイバー攻撃を防ぐためには攻撃手法を知ることが欠かせません。反撃手段を持つことは攻撃パターンを知ることを意味していますので、その点でも効果がもたらされることが期待されます。

 

 提言の中で最も評価すべきは「日本の防衛費を NATO を参考に GDP の 2% まで引き上げる」と示したことでしょう。

  1. アメリカ:3.29% (6112億ドル)
  2. 中国:1.93% (2152億ドル)
  3. ロシア:5.32% (962億ドル)
  4. サウジアラビア:10.41% (937億ドル)
  5. インド:2.50% (559億ドル)
  6. フランス:2.27% (557億ドル)
  7. イギリス:1.86% (483億ドル)
  8. 日本:0.99% (461億ドル)
  9. ドイツ:1.19% (411億ドル)
  10. 韓国:2.65% (368億ドル)

 軍事費(防衛費)を対 GDP で比較した『ガベージニュース』で紹介されている日本の GDP に占める防衛費は約 1%。これは他の主要国と比較して低い数値です。

 NATO で防衛費を 2% まで上げるかで揉める原因となったドイツは 1.2%。『日米同盟』という枠組みがある日本も、アメリカの軍事力にタダ乗りし続けることは限界に達していると言えるはずです。

 

 「防衛費を GDP の 2%にする」という数値目標ではなく、「必要な分野に防衛費を拠出し、結果として 2%」という方針を採っていますので現実性のある政策提言を示したと言えるでしょう。

 問題なのは野党が安全保障から目を背け続けていることです。なぜ、経済活動を行う土台に必要不可欠である安全保障に対する見解を表明することができないのでしょうか。

 「平和があること」はノーマルな状況ではないのです。軍隊(または自衛隊)が「危険を取り除いている」という “特殊な状況” によって、平和がもたらされているのです。

 

 近隣国が軍事活動を活発化させている現状に対し、どのように国を守り、国民を守るのかが問われているのです。野党やマスコミはこの問題についての見解を世間一般に示す必要があるのではないでしょうか。