パックンの「豊洲の名称を変えれば、問題解決」という発想が通用しないことは民進党が証明済み

 パックンの名称で知られるタレントのパトリック・ハーラン氏が『ニューズウィーク』のコラムで「豊洲問題は名称を豊洲市場から『新築地市場』に変えれば解決」と主張しています。

 ですが、この主張は全く通用しないことは民進党が証明済みです。それに加え、「豊洲=汚染された土地」という風評を後世にまで残すことになる愚策中の愚策となのです。

 

 豊洲市場を「新築地市場」と命名したらどうだろう?

 (中略)

 もちろん、市場が位置する地名と異なるのが気になる人はいるかもしれないが、それも考え方次第。千葉にある東京ディスニーランドだってみんなに愛されているでしょう?

 少なくとも、魚の味が変わらなくても、市場の名前から「豊洲」が消えるだけで議論の後味がよくなりそう。「一発で解決」は言いすぎだとしても、この案で解決への妨げが一つ減るかもしれない。

 

 コラムの中で “ファクト” という言葉が頻繁に使われていますが、肝心の提案内容がファクトに基づいていないことが残念なことと言えるでしょう。

 もし、パックンの提案した内容を実行すると、『豊洲』と名前の付く土地はすべて汚れたものであると認めることになるからです。それがどれだけの風評被害を起こすことになるのかを考えなければなりません。

 

名称変更でイメージは一新されない

 パックンが主張する「名称変更案」ですが、この効果が限定的であることは民進党が証明しています。『民主党』から『民進党』へと名称を変更しましたが、有権者のイメージは一新されたでしょうか

 「名前は変わったけど、中身は変わっていない。(むしろ、悪化した)」と答える人が多いと思われます。

 これは “過去のイメージ” がそのまま引き継がれており、中身が変わったことが証明できていないから、支持率が低迷したままなのです。

 豊洲市場を『新築地市場』と名前を変えただけではプラスの効果は生まれないことでしょう。「あそこは “豊洲” と呼ばれていたけど、有害物質がいっぱいでイメージが悪いから “新築地” と名乗って、誤魔化すようになったよ」と言われる事態が起きることまで想定しなければなりません。

 

「風評の原因を解決すること」が求められており、マスコミと都知事の責任である

 豊洲市場の問題は「安全な施設を安心できない」と言い出したことは発端です。都知事が「安全な施設である」と宣言し、調査委員会の前々から示している技術的根拠に基づく資料を示せば終わる問題です。

 しかし、政府との対決姿勢を示し、都議選を戦おうとする下心が見え見えの都知事の戦略に同調し、マスコミまで風評を撒き散らす側に加担している有様です。

 これでは問題が広がる一方で損害を受ける都民の方がほとんどと言えるでしょう。移転を止められたことで、当初の予定より多くの支出が必要となり、都民が損をする結果になるのです。

 一般市民に「安心できない」という感情があるなら、都知事は「安全である」と科学的根拠に基づいた説得をしなければなりません。また、マスコミは知事の主張内容を伝え、専門的な内容が含まれているなら分かりやすい表現で正確に報じることが求められているのです。

 

 このような “本来求められている仕事” を放棄し、活動家を中心としたノイジー・マイノリティーに寄り添う姿勢を採るから大きな損失を出す問題へと発展することになるのです。

 ゴネ得を狙う活動家の顔を立てる必要はありません。彼らは自分たちにとって都合の良いことしか主張しない訳ですから、「築地市場の方が安全面に問題があることに対する認識」や「なぜ、仲卸業者のための施設を都民が税金から用意する必要があるのか」と言うことを自ら説明する場所に立たせるべきでしょう。

 利権を守りたい界隈が撒き散らした風評は撒いた側に最後まで対応させなければなりません。責任を取らせず、名称変更という形でお茶を濁す方法は何の役にも立たないことを知る必要があるのではないでしょうか。