CNN が調査報道の “飛ばし記事” を撤回、執筆記者ら3名が辞職

 CNN は「トランプ大統領の上級顧問がロシアとの関係疑惑があり、議会が調査に乗り出した」との記事を書きましたが、これを撤回し、関わった記者ら3名から辞職の申し出を受理したと発表しました。

 “調査報道” と銘打ちながら、情報の裏取りを怠るという基本的なプロセスを経ていなかったことが大きなツケとなりました。ただ、記者が責任を取っているだけ、日本のマスコミよりはマシと言えるでしょう。

 

 Three CNN journalists, including the executive editor in charge of a new investigative unit, have resigned after the publication of a Russia-related article that was retracted.

 Thomas Frank, who wrote the story in question; Eric Lichtblau, an editor in the unit; and Lex Haris, who oversaw the unit, have all left CNN.

 "In the aftermath of the retraction of a story published on CNN.com, CNN has accepted the resignations of the employees involved in the story's publication," a spokesman said Monday evening.

 

 辞職を申し出たのは次の3名です。

  • トマス・フランク(Thomas Frank):記事を担当
  • エリック・リクトブラウ(Eric Lichtblau):調査報道部門の編集者
  • レックス・ハリス(Lex Haris):調査報道部門の責任者

 “匿名” によるタレコミはスクープとなる可能性がある一方で、情報源の意図というノイズが含まれていることが往々にして存在します。ガゼネタを掴むことを排除するために「少なくとも2つ以上の情報源による裏付けを必要とする」とのルールを CNN は設けているのです。

 その規則を無視して、記事を書いた上に事実と異なる内容だったのですから、辞職は避けられなかったと言えるでしょう。

 

 CNN の上記3名がしたことは解雇に相当するものです。ただ、解雇が言い渡される前に自発的に職を辞していることはまだマシと言えるでしょう。

 なぜなら、日本のマスコミでは誤報を出した記者や記事をチェックしたデスク・編集者などが責任に問われることは非常に稀なケースです。『吉田調書』でやらかした朝日新聞の記者らが退職したケースぐらいではないでしょうか。

 捏造・歪曲を行っている記者・編集者は何の処分を受けることなく、今日もカセネタ記事を世間に発信し続けているのです。日本のマスコミが野放しにされている現状の方が致命的だと言えるはずです。

 

 日本のマスコミも、世界基準である記名性を導入し、誰が執筆者であるかを明確にすべきでしょう。なぜなら、専門性の高い良い内容の記事を書くことができる記者は素人から玄人までが自由に情報を発信するネット上でも高い評価を得られるからです。

 現状の匿名で無責任な記事を書かれる方が “流れ弾” などによる巻き添えを組織全体が受けるになるのです。質の悪い記者を入れ替えるという意味でも大きなプラス効果を会社側にもたらすことが期待できるでしょう。

 誤報・捏造に対する厳格なプロセスを設けている CNN などの組織体制を見習い、日本のマスコミも報道内容の質を向上させることに注力するべきなのではないでしょうか。