メタンハイドレートの試験が終了、生産性向上が今後の重要課題に

 資源エネルギー庁がメタンハイドレートから天然ガスを取り出す試験が終了したことを発表したと NHK が伝えています。

 トラブルの原因となっていた “出砂” への対策で効果が見られた一方、生産性の数値が思わしくなく、商業生産を軌道に乗せるには生産性の向上が重要項目と言えるでしょう。

 

 資源エネルギー庁は愛知県と三重県の沖合で行っていた純国産の資源として期待される「メタンハイドレート」からガスを取り出す試験が終了したと発表しました。商業生産の実現に向けて、3週間以上続けてガスを採取することに成功した一方、採取できたガスの量は想定を下回り、課題を残す結果になりました。

 

 「課題は残っているが、出砂対策は機能した」という点が適切な評価だと言えるでしょう。手放しで称賛できる成果とまでは言えないが、進展が全くないとも言えない状況だからです。

 出砂対策の有効性が確認されたのですから、方向性(の1つ)は示されました。これを基に生産性向上を高めるために有効なプロセスを考える段階にステップアップしたと言えるはずです。

 

2017年4〜6月に行われたメタンハイドレート海洋産出試験の内容と成果

 今回行われた「第2回メタンハイドレート海洋産出試験」は平成25年(2013年)に行われた産出試験に続くものです。前回は出砂トラブルに見舞われたこともあり、対策を施しての試験となりました。

画像:「第2回メタンハイドレート海洋産出試験」の概要図

 なお、資源エネルギー庁が発表した成果は次のとおりです。

表1:メタンハイドレート海洋産出試験の結果(生産量は暫定値)
  第2回 A 第2回 B
実施場所 渥美半島から志摩半島の沖合
(第二渥美海丘)
実施時期 平成29年(2017年)4〜6月
試験目的 一方の坑井を用いた3〜4週間程度の連続した天然ガスの生産 もう一方の坑井を利用し、出砂対策の有効性やガスの生産性の比較・検証
主な成果 ・出砂が発生
・12日間で計3.5万㎥
・出砂なし
・24日間で計20万㎥

 1本目では出砂トラブルが発生しましたが、別の対策が施された生産坑井では予定された期間の連続生産に成功しました。ただ、改善点が残されていることが今後の課題と言えるでしょう。

 

“生産性の向上” が今後の重要課題

 出砂への対策ですから、フィルターを使う形で砂の混入を防いだのでしょう。それにより、ガスの生産量が減少するという副作用を招く結果となりました。

  • 第1回目(※ 出砂トラブル発生)
    • 約6日間の連続生産
    • 約12万㎥のガスを生産
      約2万㎥ / 日
  • 第2回目(2本目の生産坑井=出砂トラブルなし)
    • 24日間の連続生産
    • 約20万㎥のガスを生産
      約0.83万㎥ / 日(約8300㎥ / 日)

 前回は1日で約20000㎥の天然ガスを生産できていましたが、今回は半分未満の「約8300㎥ / 日」となっています。これではコストが高くなりすぎるため、生産性を高める必要があることは確実です。

 生産コストの目標としては「シェールガスと同程度」になるでしょう。日本はパイプラインで天然ガス産出国とつながっておらず、LNG 輸送船で運ぶ必要があります。

 そのため、シェールガスの生産と同程度(か少し高いぐらい)の生産性を確保できれば、市場でシェアを獲得することは十分に可能だと言えるでしょう。

 

 世間の注目を引くような派手な結果ではありませんので、マスコミが取り上げる話題になるとは思えません。しかし、研究・開発の段階で一定の進展があったことは評価されるべき点です。

 それをしなければ、地味で評価されない傾向が強いことに従事する人材がいなくなることを自覚しておく必要があるのではないでしょうか。