羽田空港のゴミ箱から大量の実弾が発見された事件は日米双方に改善点があることを意味している

 東京・羽田空港のゴミ箱から大量の実弾が発見されたと NHK が伝えています。

 実弾を捨てたアメリカ人女性(60代)が銃刀法違反で逮捕されたということですが、日本とアメリカの空港における保安体制を見直す必要がある事件だと言えるでしょう。

 

 警視庁によりますと、4日午後4時前、羽田空港国際線の出発ロビーで、ゴミ箱の中から22口径の拳銃の実弾100発が見つかりました。

 警視庁が防犯カメラの映像を解析するなどして調べを進めたところ、アメリカ人の60代の女が所持していたものだったとして、銃刀法違反の疑いで逮捕しました。

 (中略)

 調べに対し容疑を認め、「実弾はアメリカの自宅で保管していたもので、日本に入国したあと、カバンの中に入っているのに気付き、いけないと思ってゴミ箱に捨てた」などと供述しているということです。

 

 事件を端的に説明すると、「アメリカ人女性が自宅に保管していた実弾が鞄に入っていることを忘れて日本に入国。いけないと思い、ゴミ箱に捨てた」というものです。

 故意であったかは今後の調査で判明することでしょう。問題なのは「出発国であるアメリカと到着国である日本の双方で実弾を所持していたことが発覚しなかった」ことです。

 

1:機内に火薬が含まれた荷物を持ち込めたことが問題

 警視庁が発表した情報によりますと、「女性は夫とともにアメリカから日本に入国した」とのこと。つまり、アメリカの空港で保安検査を受けたはずですが、荷物に実弾があったことが見逃されていることを意味しているのです。

 アメリカではライセンスを持つ人物が銃を所持することは違反ではありません。

 しかし、花火など火薬が含まれているものは機内に持ち込めませんし、預けることもできません。ただ、チェックされるべき荷物が見逃されていたのですから、アメリカの保安体制が万全だという思い込みは禁物であることが示されたと言えるでしょう。

 

2:アメリカの空港の保安検査では禁止品目の 95% が見逃されている

 悪評ばかりが目立つ TSA (アメリカ運輸保安庁)ですが、なんと「空港の保安検査で禁止品目の 95% が見逃されている」と CNN が2015年6月に報じています。

 米国土安全保障省が米国内数十カ所の空港で実施した覆面調査で、保安検査を担う米運輸保安庁(TSA)の職員が95%の確率で武器や爆弾を発見できていない実態が判明した。

 当局者によると、同省監察室の調査官が乗客を装うなどして禁止品目を持ち込めるかどうか試した。その結果、70回のうち67回は保安検査を通過できてしまったという。

 ある程度は改善されていると思われますが、「実弾100発が保安検査で見逃されていたとしても何ら不思議ではない実態がある」と言えるでしょう。

 検査体制が 100% 完璧に機能するという思い込みは危険なことです。しかし、5% しか機能していないという現実は容認できる水準をはるかに下回っていることを自覚した上で対策を講じなければなりません。

 

3:日本の保安体制も「火薬が含まれた荷物が持ち込まれてるかも」という基準への変更を考慮すべき

 到着国側の空港は基本的に性善説で運用されることでしょう。なぜなら、出発国の空港で「危険物の持ち込み検査」は実施されており、入国時に問題となる荷物だけを確認すれば良いとの方針が一般的になっていると考えらるからです。

 ただ、日本では火薬類が空港の検査をすり抜ける形で持ち込まれることが問題となっています。

 今回の件もそうですし、靖国神社を爆破しようと試みた韓国人も黒色火薬を韓国から飛行機で持ち込んでいます。そのため、“到着時の検査” を実施することも検討しなければならない状況になっていると言えるはずです。

 火薬類を検知する装置やAIを試験的に導入するといった形で対策を講じる必要があると言えるのではないでしょうか。