右打者で安打量産中の巨人・坂本の成績は特筆すべきもの

 巨人の坂本勇人選手が7月9日に行われた阪神対巨人戦で通算1500安打を達成しました。

 記録達成の年齢が低く、右打者で守備の負担が大きいショートというポジションで結果を残している点は大きく評価されるべきでしょう。どのまで記録を伸ばすのかが最大の注目点です。

 

 巨人・坂本が巨人歴代最年少で通算1500安打に到達した。3点を追う9回、1点差としてなおも2死一、三塁の場面から、左前へ一時同点のタイムリーを放った。28歳6か月での達成は、球界でも1964年に27歳9か月で達成した榎本喜八(東京)に次ぐ2番目の年少記録だ。

 

 最速記録を持つ榎本喜八氏は “安打製造機” の異名を持ち、最年少(31歳7ヶ月)で2000本安打を達成しています。坂本選手は右打者として史上最速で1500本に到達した訳であり、2000本安打という節目にいつ到達するかが注目点となるでしょう。

 殿堂入りを果たしている過去の名選手が残した記録を上回るペースで安打数を積み重ねており、怪我などで離脱しないことが1つの条件と言えるはずです。

 

1:過去の名選手との比較

 プロ野球で2000本安打を達成した名選手が1500本安打を達成した時の年齢と通算安打数は下表のとおりです。

表1:安打数の比較
  選手名 安打数
1500本 通算安打
1 張本 勲 1500
(29歳2ヶ月)
3085
(41歳)
2 野村 克也 1500
(31歳3ヶ月)
2901
(45歳)
3 王 貞治 1500
(30歳4ヶ月)
2786
(40歳)
5 衣笠 祥雄 1500
(33歳2ヶ月)
2543
(40歳)
9 長嶋 茂雄 1500
(31歳6ヶ月)
2471
(38歳)
坂本 勇人 1500
(28歳6ヶ月)

 右打者としては野村克也氏(南海)、衣笠祥雄氏(広島)、長嶋茂雄氏(巨人)がベスト10に名を連ねています。左打者と比べて内野安打が少なくなる右打者で結果を残している選手はそれだけ評価されるべきと言えるでしょう。

 また、上述の3名は野村氏が捕手、衣笠氏と長嶋氏は三塁手です。守備でも負担の大きいポジションで結果を残している名選手がいるだけに、坂本選手が続くことができるのがに注目が集まります。

 

2:「ペースを維持できるか」が最大の焦点

 大記録達成となるかは「安打数のペースを維持できるか」という点に集約されます。

 トレーニング方法の発達などで選手寿命は全体的に伸びました。ですが、怪我などで離脱している期間は安打数を積み重ねることはできませんので、コンディション管理の重要性が高まることになるでしょう。

 “鉄人” と称された衣笠祥雄氏は33歳で1500本安打を達成し、そこから1043安打を積み重ねてキャリアを終えました。この記録が坂本選手の目安かつモチベーションとなると思われます。

 31〜32歳で2000本安打を達成し、大きな負傷をしなければ、プロ野球歴代最多安打記録を更新することも可能性があると言えるでしょう。

 

3:「負傷」と「メジャー移籍」が懸念材料

 坂本選手の記録達成に対する懸念があるなら、「負傷」と「メジャー移籍」の2点でしょう。負傷離脱中は試合に出ることができませんし、メジャー移籍を決断すれば日本のプロ野球での記録は積み重ねられなくなるからです。

 データ分析の精度が格段に上がり、打者・坂本勇人の弱点が見つかるかもしれません。ただ、弱点を確実に突くことができるかは投手次第ですし、弱点を放置したままでプレーする選手はほとんどいないと思われます。

 「メジャー移籍」という形で日本球界から離れることが現時点で最も懸念すべき項目と言えるのではないでしょうか。