マスコミの “借りパク” を防ぐために『物品賃貸借契約書』の締結を徹底しよう

 TBS のバラエティ番組『マツコの知らない世界』で出演者から預かった資料を紛失していたと毎日新聞が報じています。

 「モノを借りた当事者」という認識が極めて低いのでしょう。TBS と関係が深い毎日新聞が外部(オリコン)で執筆された記事を転載していることからも伺い知ることができることです。

 

 サイトに9日までに掲載された「お知らせ」では「2016年10月18日放送の『号外の世界』で、出演者の小林宗之氏からお預かりしていた貴重な資料の一部を、番組の不注意で紛失してしまいました」と報告。

 (中略)

 小林氏も自身のサイトで「TBS側に貸出した資料のうち、8点を紛失されるという事件が発生しました」と記し「TBS側により警視庁赤坂署に16年12月5日付で紛失届を提出済ですが、現在に至るまで、資料の返還を受けられておらず、資料も発見されておりません。もし、どこかで発見された場合は、是非ともご一報くださいますようお願いいたします」と呼びかけている。

 

 他人の所有物を紛失しても何とも思わないから、事実と異なる内容の番組を平然と放送するのでしょう。それだけマスコミには無責任な体質であるということです。

 もし、マスコミや番組制作会社から資料などの貸し出しを求められた際は自衛しなければなりません。少なくとも、性善説で相手を信用すると痛い目を見ることは肝に銘じておく必要があります。

 

1:『物品賃貸借契約書』による契約を締結し、貸し出しの証拠を作る

 “赤の他人” であるマスコミに自分の所有物を貸し出す訳ですから、トラブルが生じた場合の取り決めをしておくことは当然です。

 『物品賃貸借契約書』による契約が一般的であり、マスコミに貸し出す場合は契約書に「番組責任者のハンコ」を押すことを必須事項とすべきです。番組責任者のハンコとする理由はテレビ局が番組制作会社に責任を押し付けることをできなくするためです。

 紛失や破損・欠損に対する責任を負うことなく、モノを借りたいというのはムシの良すぎる要求です。“借りパク” や紛失前提という時点で論外と言えるでしょう。

 

2:貸し出し品の紛失・破損に対する賠償額とデポジット額を契約書に明記すべき

 仮に、マスコミが「慣例だから」と主張しても無視すべきです。貸し出し品が紛失・破損となって際に不利益を被るのは貸主であり、借主であるマスコミには何の損害もないからです。

 貸主だけが一方的に不利益を被る実態が間違っていることなのです。その実態を『物品賃貸借契約書』を締結することで対等な立ち位置にすべきと言えるでしょう。

  • 紛失・破損などに対する賠償金額を明記
  • 貸し出しに対するデポジット額を明記
    → 貸し出し品が期日内に返却されなければ全額没収

 資料などを貸し出すのであれば、紛失や破損に対する賠償額を明記した上でデポジットも要求しておくべきでしょう。期日内に返却がなかった場合に没収し、訴訟費用に充てることも可能になるからです。

 もし、デポジットを払うことをテレビ局やマスコミが難色を示すのであれば、それは「借りたものを大切に扱わない」と宣言していることと同じです。そのようなマスコミには注意する必要があると言えるでしょう。

 

 マスコミには「借りた」という認識はなく、「譲渡された」という扱いで番組を作っているのでしょう。そのため、紛失・破損が番組制作中に生じたとしても、真剣に取り合うという認識が完全に欠如することになっていると思われます。

 マスコミ・テレビ局は平気で “借りパク” をするという認識を持ち、「貸して欲しい」との申し出を受けた場合に相手の言いなりにならないよう自衛策を講じておく必要があると言えるのではないでしょうか。