メジャーでもオ・スンファン劇場が開演、2年目の成績が悲惨なことに

 阪神タイガースで守護神として2年間活躍したオ・スンファン(呉昇桓)投手がメジャーで苦境に立たされています。

 ベースボールチャンネル』によりますと、パイレーツ戦でサヨナラ弾を浴びて今季5敗目。カージナルスのファンから大きな批判を浴びているとのことです。

 

 オ・スンファン投手は2016年から MLB に活躍の場を移し、初年度は76試合に登板。シーズン後半戦はクローザーを務め、6勝3敗19セーブ、防御率1.92と結果を残しました。

 ところが、今季の成績は散々なものとなっています。

表1:オ・スンファンの成績(2017年7月16日時点)
  投球回 自責 防御率 HR
4月 11 1 0 6 12.0 6 4.50 2
5月 11 0 2 6 13.0 2 1.38 1
6月 11 0 2 4 11.0 7 5.73 3
7月 6 0 1 2 5.0 4 7.20 2
合計 39 1 5 18 41.0 19 4.17 8

 クローザーとして迎えたシーズンでしたが、初登板でブロウンセーブ(セーブ失敗)。そこから立て直し、5月を終えた時点で復調したと思われたものの、6月以降はマイナー行きを告げられても文句を言えない成績となっています。

 

 原因は K/BB (奪三振数と与四球の比率)が急落したことと、“左打者のカモ” になっていることと言えるでしょう。

  • 2016年の成績
    • K/BB:5.72
    • WHIP:0.92
    • 対右打者:被打率 .201、被長打率 .308、OPS .555
    • 対左打者:被打率 .176、被長打率 .221、OPS .455
  • 2017年の成績
    • K/BB:3.16
    • WHIP:1.44
    • 対右打者:被打率 .209、被長打率 .279、OPS .545
    • 対左打者:被打率 .363、被長打率 .688、OPS 1.101

 左打者との対戦は「まったく打てない8番キャッチャー」を相手にしているようなものだったのが、「球界の顔と呼ぶべき強打者」との対戦にまで激変しています。

 これでは9回の1イニングを3人で終えることは難しいですし、一発を食らえば勝ちを取りこぼすシーンで登板させることは難しいと言えるでしょう。クローザー降格も止むを得ない成績と言えるはずです。

 

 阪神時代もそうでしたが、オ・スンファン投手は2年目に奪三振数を落としています。これは “石直球” と言われるストレート(おそらく、フォーシーム)に打者が慣れ、空振りを奪えないことに起因するものでしょう。

 パイレーツ戦で打たれたサヨナラ弾は外寄り94マイル(約151キロ)のストレート。これをレフトスタンドに運ばれており、立場が厳しくなっていることは明らかです。

 敗けが5、ブロウンセーブが3(その内1つは敗けが付いている)。クローザーとして物足りないレベルであり、セットアップを任せることも躊躇せざるを得ない成績です。

 唯一の武器であるストレートが「高速・中回転・きれいな軌道」ではメジャーリーガーは苦にしないでしょう。上原投手(カブス)のように「低速・超高回転・きれいな軌道のストレート」と「スプリット」という2つの武器を持っていないと複数年に渡って成績を残すのは難しいものと考えられます。

 

 限界が見えてきたオ・スンファン投手をセントルイス・カージナルスがどの時点で見切りを付けるのかが注目点と言えるのではないでしょうか。