オール沖縄、名護市にキャンプ・ハンセンが返還されたことに不満を述べる

 名護市のキャンプ・ハンセンが部分的に返還されたことに対し、跡地利用の目処が立っておらず、地元が困っていると NHK が報じています。

画像:名護市に返還されたキャンプ・ハンセンの位置関係

 『基地返還』を強く求めておきながら、「基地の借地料収入がなくなる、跡地利用の目処が立っていない」と不満を述べるのはワガママと言えるでしょう。

 

 アメリカ軍基地キャンプハンセンのうち、日米両政府の合意で3年前に名護市に返還された一部の土地に続き、残りの100ヘクタール余りが先月末に返還されました。

 これで名護市への一連の返還は終わりましたが、土地が山の斜面にあり跡地利用のめどは立っていません。

 

 日米両政府は4年前の2013年にキャンプ・ハンセンの部分返還(約162ヘクタール)に合意しました。3年前の2014年には名護市幸喜(約55ヘクタール)の返還が行われ、2017年6月末で残る許田と喜瀬の約107ヘクタール分が返却されたのです。

 ただ、山間部ということもあり、経済活動には明らかに不向きです。そのことに対し、“返還を求めた名護市” が「借地料収入の減少は大きな問題」と後から不満を述べている状況となっています。

 

1:資産価値がゼロまたはマイナスの山間部に在日米軍基地があることは地元自治体にとってオイシイこと

 名護市など “オール沖縄” が要求する基地の返還には大きな落とし穴が存在します。それは「基地からの借地料収入」です。

 山間部など開発が行き届いていない土地の地価は二束三文です。資源がない限り、買い手が現れることもないでしょう。ただし、アメリカ軍が基地として所有している場合は「借地料」を得ることができるのです。

 資産価値がゼロまたはマイナスなのに、地元自治体は何もせず、毎年安定した固定収入を得られる。これほど “オイシイ” 資産はありません。

 このことを完全に見落としていたと言えるのでしょう。

 

2:基地が返還されれば、借地料収入はゼロになるのは当然

 当たり前の話ですが、借地が返却されることになれば、借地からの利用料収入はゼロになります。

 名護市は「キャンプ・ハンセンの返却」を求めており、日米両政府もその意向を尊重し、部分的に返還できるエリアは返還することを決定したのです。ところが、名護市が「借地料収入がなくなるのは困るから、返還は先延ばしにして欲しい」とワガママを言い始めたのです。

画像:跡地利用に悩む名護市

 これでは「基地の返還要求は単なるパフォーマンス」と見られて当然でしょう。自ら返還を強く求めておきながら、実際に返還されると「収入が下がった」などと文句を言う始末だからです。

 「跡地利用の難しい土地(山間部など)は従来通りの借地料を払え、平地部分はすぐに返却しろ」という主張が本音なのではないでしょうか。

 

3:基地の返還を喜ばない時点で活動家のお里が知れる

 「地元からは困惑の声も出ている」と述べていますが、返還要求が叶えられたことを地元行政のトップが好意的に捉えているメッセージを出していない時点で致命的です。

画像:返還されては困るとゴネる一部の住民

 「負担が少しでも軽減されたことは好ましい」や「今後も沖縄の基地負担が軽減され続けることを期待している」というコメントをトップが出し、それを地元メディアが報じることができなければ、基地の返却ペースが鈍ることになるのです。

 自分たちで基地の返還を要求しておきながら、実際に返却されると “困惑の声” があげるということの方が明らかに矛盾していると言えるでしょう。基地が返却されることはないという前提で、平和活動をしている自分たちの姿に酔いしれていたのだと思われます。

 “いいとこ取り” はできないし、やろうとすれば世間からの反感を買いやすいという当たり前のことをオール沖縄は学習すべきと言えるのではないでしょうか。