獣医師会から献金を受け取り、「特区認定の白紙化」を要求した民進党・玉木議員の行為は受託収賄罪に該当する

 閉会中審査で議論された『加計学園』をめぐる獣医学部新設の件で、民進党・玉木議員が「特区認定を白紙に戻すべき」と主張し、朝日新聞も7月25日付けの社説で同調しています。

 しかし、この主張は問題のある内容です。玉木議員の行為は受託収賄に該当する行為ですし、朝日新聞も主張するように白紙撤回すれば、国は賠償義務を負うことになるからです。

 

1:業界擁護の質問は受託収賄に問われることがある

 国会で業界の意向を代弁する質問をすること自体には問題はありません。しかし、業界から金銭を受け取っていた場合は別です。

 八五年の撚糸工連事件では、民社党(当時)の横手文雄衆院議員が、業界に有利な質問をするよう業界団体から自民党議員を通して請託を受け、二百万円を受け取ったとして、受託収賄罪に問われ、有罪が確定しています。

 

 日本共産党の機関紙『赤旗』で上記のように紹介されているのです。獣医師会から献金を受け取り、業界に有利となるような質問・主張を国会の閉会中審査で行った玉木議員の行為は罪に問われるべき内容と言えるでしょう。

 

2:民進党・玉木議員の行為は受託収賄罪に抵触する

 玉木議員は獣医師会から献金を受け取っています。また、父親や弟が獣医師会関係者という業界との関係は非常に密接な立ち位置です。

 獣医師会は「獣医学部の新設を認めない」と主張しており、閉会中審査で玉木議員が行った「特区認定を白紙撤回すべき」は獣医師会だけが有利となる要求です。この行為は受託収賄罪に問われるべきものと言えるでしょう。

 『赤旗』で紹介されている有罪が確定した横手議員の行為は玉木議員と同じです。玉木議員は “獣医師業界” が有利になるよう質問をしており、献金も受け取っています。

 「献金が “政治資金” として適切に処理されていれば、業界に利益誘導して良いのか」という話だと言えるでしょう。

 

3:国が特区認定を白紙撤回した場合、賠償責任が発生する

 玉木議員や朝日新聞が残念なのは「特区認定を白紙撤回した場合、賠償責任が発生する」ことを完全に見落としている点です。これは『宜野座村工場誘致事件』における最高裁の確定判決が存在するからです。

 判決の概要は以下のとおりです。

  • 村長が変わる等、村の事情で計画が変わることに原則問題はない
  • 個別的・具体的な勧告ないし勧誘を伴い、かつ、特定の活動が長期的でそれら施策を前提とする場合は責任が生じる
  • 特定の者に生じる多額の積極的損害についての補償をせずに施策を変更することは止むを得ない客観的事情が存在しない限り不法行為責任となる

 国家戦略特区による獣医学部新設を白紙撤回するということは「今治市(+加計学園)のプロジェクトを一度ご破算にする」というものです。

 当然、プロジェクトを進めてきた今治市(と加計学園)に多額の損害を与える訳ですから、補償をしなければなりません。“止むを得ない客観的事情” が存在すれば、賠償責任は免責されますが、法的根拠すらない提示されていない疑惑では客観的事情とは言えません。

 白紙撤回を主張する民進党・玉木議員や朝日新聞が全額支払ってくれるのでしょうか。その意志を明言できないのであれば、あまりに悪質な主張と言えるでしょう。

 

4:朝日新聞や民進党・玉木議員のような主張が存在するから、TPP に ISD 条項が存在する

 TPP の締結時に「ISD 条項は危険だ」などと積極的なデマを流した人物らが存在しましたが、『加計学園』の騒動を見れば ISD 条項の必要性を痛感できるでしょう。

 違法性がなく法令を遵守して進めてきたプロジェクトでも、「気に入らない」と手のひら返しが行政側に認められてしまうと事業主は泣き寝入りを強いられるからです。

 それを防ぐためには「決定政策を安易に変更できないよう自重される仕組み」が欠かせません。その有効策が投資家保護を定義した ISD 条項なのです。

 もし、ISD 条項がなければ、行政側は外資企業を誘致し、工場など施設面での投資をさせた上で国内ルールを一方的に変更して投資された工場設備をまるまる乗っ取ることができます。このような “悪質極まりない手段” が可能な訳ですから、“歯止め” は絶対に必要なのです。

 

 獣医師会から献金を受けている民進党・玉木議員が獣医学部新設の白紙撤回を求めるのはつじつまが合っていると言えるでしょう。

 しかし、クオリティーペーパーである朝日新聞が「白紙撤回をすると、国が賠償責任を負うことになる」ことを隠し、白紙撤回を要求することは極めて残念なことです。予算を浪費することになりますし、日本では違法行為でないにもかかわらずプロジェクトが潰されるとのマイナスイメージが広まることになるからです。

 最も、日本を陥れることを目的とする勢力にとっては素晴らしい方針であり、的確な効果をもたらしています。ただ、日本で生活する多くの人々にとっては何のメリットも得ることのできない極めて無責任な騒動だと言えるのではないでしょうか。