野田聖子総務大臣が次の自民党総裁選に出馬することは自由だが、閣僚として実力があることを示すことが先だ

 野田総務相が自民党の総裁選に出馬すると明言したことに対し、安倍首相は好意的なコメントを述べたと NHK が報じています。

 「閣僚である議員は総裁選に出馬しない」という “暗黙のルール” に反するとの声も一部ではありますが、総裁選に意欲のある自民党議員が出馬したいのなら、妨げるべきではありません。

 ただ、自民党総裁=総理という立場です。そのため、閣僚という立場であるなら、まずは役割を全うし、能力があることを示すことが先決であると言えるでしょう。

 

 安倍総理大臣は、野田総務大臣が3日の夜、次の自民党総裁選挙に「必ず出る」と述べたことについて「総裁選挙は3年に1回、志を持った議員が互いに政策を戦わせ、そのエネルギーとダイナミズムで自民党は前進してきた。そういう志を持っているということをはっきりと示したことは、むしろ党内の活性化にいいのではないか」と述べました。

 一方、安倍総理大臣は「野田大臣はもちろん一緒に政策を進めていくことについては協力してくれるということもはっきりと言っていただいており、内閣の一員として一緒に全力を尽くしてくれると思う」と述べました。

 

 野田聖子氏は自らの野心を隠していませんが、総裁になるには自民党の議員・党員からの支持が必要不可欠です。

 そのために必要なのは「安倍首相の後任は野田聖子氏がベスト」と判断されることです。スタンドプレーに走れば目立ちますが、「無責任な政策をする」、「選挙時に掲げた党の公約を平気で反故にする」と見られるリスクがあるため、自重しなければなりません。

 

 野田氏にとって、ポジティブな要素は「初の女性総理」という『絵』が欲しいマスコミが支援してくれる可能性が高いことです。そのため、多少の “失敗” はもみ消してくれることでしょう。

 世間一般には隠し通すことができますし、テレビしか見ない有権者が悪い印象を抱くことはないはずです。

 しかし、自民党の総裁選という舞台では条件が異なります。投票資格を持つのは自民党員と国会議員であり、組織内部からの信任度で決定するのです。

 党内部で筋を通していなかったり、横柄な態度で他の国会議員と接していた場合、総裁選で大敗を喫する原因となってしまうことでしょう。つまり、「安倍総裁時代を幕引するだけの政治家であること」を自民党内に示す必要があり、上っ面だけでは誤魔化せない状況で結果が求められているのです。

 

 野田聖子氏が大臣を務める総務省ですが、放送・通信に対して大きな権限を持つ官庁です。

 「放送法」に基づく停波をテレビ局に対する行う権限を持ちますし、国民の資産である “電波” をどう割り当てるのかの権限も有しています。旧・郵政省の事業も引き継いており、郵政大臣としての経歴を持つ野田氏がどのように振る舞うのかが注目点と言えるでしょう。

 テレビ局は「政治的に公平であること」や「報道は事実をまげないでする」と定められた放送法4条に抵触するような内容の番組を報じています。この問題に対し、総務大臣としてどのような姿勢で取り組むかで評価が分かれるものと思われます。

 また、電波行政についての手腕も政治家として評価の対象となるでしょう。

 

 岩盤規制側の族議員として、“軽い御輿” となり、女性初の総理という『絵』をマスコミに提供するだけの厄介者なのか。それとも、実力のある本物の宰相となる器を持った政治家なのか。野田聖子議員の実力に注目と言えるのではないでしょうか。