国会は日経新聞が指摘した介護費膨張の歯止めに本腰を入れるべき

 日経新聞が「介護費が膨張する3つの無駄遣い」との記事を書いています。

 現状で9兆円の介護費が2025年度には2倍以上となる20兆円にまで膨らむのは異常と言えるでしょう。ムダが指摘されているのですから、国会で膨張に歯止めをかけなければなりません。具体的な対策案を提示することが国政政党の責任になるはずです。

 

 介護保険が膨張している。介護施設や在宅サービスの給付費は総額約9兆円に上り、2025年度には2倍以上のおよそ20兆円に膨らむ見込みだ。給付の伸びは高齢化だけでは説明しがたく、サービスのムダにつながる3つの温床が浮かび上がってきた。

 

 日経新聞の小川和広記者が記事の中で指摘する「ムダにつながる3つの温床」は以下のものです。

  1. 安い自己負担
  2. 規制に抜け道
  3. 監視は困難

 このまま放置するのであれば、“しわ寄せ” は現役世帯に行くことになります。その結果、若い世帯を中心にさらに苦しい生活を強いられる訳ですから、少子高齢化に一層拍車がかかることになるでしょう。

 利用者に必要な自己負担を求めることが必須と言えるはずです。

 

1:「家政婦として使える」という介護保険が抱える欠陥

 自己負担が安いということは「介護保険を気軽に使える」ということです。民間の家事代行サービスよりも安い価格で同じ依頼を介護保険でできるのですから、本来の用途から逸脱した事例が頻発して当然です。

 他人の財布でサービスを受けられるのですから、ムダ使いをする人は増えて当然です。利用者がコスト意識を持つことなど起こり得ないことと言えるでしょう。

 自己負担は 10% ほどです。これでは月額限度額は歯止めとして機能することは期待できません。その結果、介護費の総額が青天井のように上昇していくことになるのです。

 

2:「国からの給付金」には “最高の収入源” という側面がある

 介護費にムダが生じる温床として、「規制に抜け道があること」と「監視が難しいこと」が指摘されています。これは “いたちごっこ” になるでしょう。

 なぜなら、国が定めた給付金は企業にとって、最高の収入源だからです。売上を記録しても、代金を回収できなければ、企業は倒産してしまいます。しかし、国からの給付金は代金として回収する上で最も理想的です。

 個人とは比較にならないほど信頼度を持つ国家が「サービスを行った分だけ給付金という形で支払いをしてくれる」のです。

 “過剰サービス” と言われようが、給付限度額ギリギリまでサービスを提供するでしょう。サービス利用者の自己負担額は低いため、歯止めをかける理由はありませんし、負担は現役世帯に押し付けることが可能だからです。

 

 「要介護と認定された人の生活を守るために、現役世帯の生活を苦しくすることは本末転倒だ」という意見が有力な見解にならないかぎり、消費が上向くことはないでしょう。

 現役世帯の給与から介護費などの天引き額が増えれば、生活が苦しくなることは明らかです。当然、財布の紐は硬くなりますし、市場のパイが縮小することにも直結します。日本経済を支える現役世帯が疲弊させ続ける政策しかできないことはあまりに無能すぎると言えるでしょう。

 財政健全化を推進する法案を提出したことのある政党は『社会保障健全化法案』を提出すべきです。その中で「社会保障・医療・介護の3項目の予算支出に占める割合は 25% 未満とする」というように上限を示し、議論を主導すべきと言えるのではないでしょうか。