大飯原発3・4号機の運転再稼動に地元・福井県おおい町が同意、電力料金が引き下げられる見通しが立ったことは大きい

 関西電力が再稼動を目指す大飯原発3・4号機に対し、地元の福井県おおい町が再稼動に同意したと NHK が伝えています。

 原子力発電所が運転を再開すれば、電気料金が下がることになります。そのため、再稼動に “地元” が同意したことは大きな前進であると言えるでしょう。

 

 おおい町の中塚寛町長は、25日に開かれた町議会の全員協議会で、「大飯原発3、4号機の再稼働について理解する」と述べ、町として再稼働に同意する考えを明らかにしました。

 中塚町長は同意した理由について、地元住民の理解や、新しい基準に基づいた事故を防ぐ安全対策、それに原子力に関して国民の理解を進めていく国の姿勢を確認できたことを挙げています。

 大飯原発3、4号機の再稼働をめぐっては、今月8日に、おおい町の町議会も同意を表明していて、今後は、西川福井県知事と県議会の判断が焦点となります。

 

 福井県では高浜原発3・4号機が営業運転を行っていますので、知事や県議会がヒステリックな再稼動反対を展開することはないでしょう。

 なぜなら、「高浜原発は OK で、大飯原発はダメ」という明確な根拠を示す必要があるからです。責任を負う立場にないマスコミは「再稼動反対」とのキャンペーンを展開することが予想されますが、選挙の審判を受ける立場にある政治家が無責任な姿勢を示せば、必ず報いを受けることになるからです。

 

1:2017年秋頃に再稼動の予定からは遅れている

 大飯原発3・4号機が審査に合格したのは2017年5月のことです。この時は秋頃には再稼動する見通しで、年内には電気料金の値下げが行われると見られていました。

画像:再稼動の流れ(高浜原発と大飯原発)

 当時の予想スケジュールからすると、約3ヶ月ほどの遅延が生じている状況です。3号機の運転開始が2018年1月、4号機が2018年3月ですから、値下げは2018年4月以降になることでしょう。

 値下げ時期が先送りになったことは残念ですが、値下げする見通しが立ったことは大きく評価されるべきことなのです。

 

2:原発再稼動に反対する界隈で「高額な電気代」を負担すべきだ

 原発再稼動に反対する勢力は一定数で存在します。いまだに選挙で票になると考えている政党・政治家がいるのですから、相当のものと言えるでしょう。

 しかし、「高額な電気代」という形で消費者に負担を押し付けているのです。

 この事実から目を背け、再稼動停止の仮処分を地裁に出させるという妨害訴訟をする反原発団体まで存在しているのです。こうした身勝手な団体を放任しておくことのメリットは皆無です。電力会社は原発再稼動を妨害されたことによる損害賠償を反原発団体に求めなければなりません。

 自らのイデオロギーのために、「高額な電気代」を消費者に押し付け、自分たちが与えた損害に対する賠償は免除されるという “悪しき前例” は作ってはならないことなのです。

 

3:止めた後の対応策がない “リセット戦略” は最悪である

 進行中のプロジェクトを止めることは比較的簡単です。なぜなら、進行を止めば目的は達成されるため、様々な手段で妨害すれば済むからです。

 しかし、本当の問題は「止めた後」に起こります。

 関西電力の管内では大阪維新の会(当時)が『大阪府市エネルギー戦略会議』を立ち上げ、反原発の政治姿勢を打ち出しました。「埋蔵電力がある」など様々な主張を展開し、原発再稼動を妨害し続けましたが、関電をバッシングしただけで成果を残せず、組織はうやむやとなった経緯があります。

 当然、維新の会にとっては “触れてはいけない黒歴史” であり、橋下徹氏の歯切れが悪いテーマです。

 本人は「(反原発派に)チャンスを与えただけ」と弁解するでしょうが、チャンスを与えることで「近畿圏の経営環境を悪化させた」という結果が生じたのです。

 「失政の挽回」に尽力していない有様なのですから、対応策を持たない『リセット戦略』や『立ち止まり戦略』を容認することは大きなツケを払わされることになることを覚えておく必要があります。

 

 大阪維新の会で橋下代表が反原発パフォーマンスをやったことで生じたツケを関西電力が地道に現在も払い続ける努力をしていることを見落とすべきではないでしょう。目立ちたがりのポピュリストが与えた損害は全体に及ぶということを覚えておく必要があると言えるのではないでしょうか。