『希望の党』への合流を満場一致で承認した『民進党』に新党を設立する大義はない

 『希望の党』への合流を打ち出した『民進党』ですが、全員が合流することは非現実的となっています。

 そのため、「(公認が得られないことが濃厚である)民進党の左派議員を中心に新党が設立される」と報じられ始めています。しかし、この動きに “大義” はありません。なぜなら、『希望の党』への合流は民進党が満場一致で承認したことからです。

 

1:常任幹事会で「合流を満場一致で承認」し、両院議員総会でも了承されている

 民進党は9月28日午前に行われた常任幹事会で下記3項目が満場一致で承認した朝日新聞が伝えています。

  1. 今回の総選挙における『民進党』の公認内定は取り消す
  2. 『民進党』の立候補予定者は『希望の党』に公認を申請することとし、 『希望の党』との交渉及び当分の間の党務については代表に一任する
  3. 『民進党』は今回の総選挙に候補者を擁立せず、『希望の党』を全力で支援する

 

 また、同日午後に行われた両院議員総会でも了承されています。この方針を変更する訳ですから、「一貫性がない」との批判に対する説明は不可欠と言えるでしょう。

 「『希望の党』から公認がないというのは話が違う」という主張は “言い訳” に過ぎないことなのです。

 

2:“看板書き換え戦術” は失望を生むだけ

 民進党は両院議員総会で「公認は『希望の党』に一任する」ことで了承しています。

 つまり、民進党に所属していた代議士を承認するかの決定権は『希望の党』が持っているのです。これを「民進党の議員は全員が『希望の党』からの公認を得られる」というのはあまりに虫が良すぎる考え方です。

 民進党の議員全員が『希望の党』に移籍すれば、それは単なる “看板の書き換え” です。

 憲法改正や安保法制で『希望の党』が掲げた政策方針は民進党のものと真逆です。それを知った上で「合流」を決断したのですから、「民進党の名称を変更しただけの新党設立は論外」と言えるでしょう。

 議席のために政治家の信念を平気でコロコロ変えていることが理由です。

 

3:民進党から左派が離脱し、『新・民主党』を設立する道しか残されていない

 民進党の看板を変えるだけの方法は論外でしょう。特に、安保法制に対する姿勢が右往左往しているからです。

  • 安保法制の成立に “リベラル” として猛反対
  • 『希望の党』からの公認を得るために「安保法制賛成」へ転向
  • 公認が得られない見込みの議員を中心に「安保法制反対」へ再転向?

 要するに、『希望の党』からの公認を求めた民進党議員は政治家としての信念を持っていないも同然です。国防に関する政策姿勢は短期間で何度も変更されるものではないからです。

 もし、『希望の党』への入党が難しくなった議員が「政党という受け皿」を希望するのであれば、民進党を離党し、新党を立ち上げる道のみが唯一の選択肢と言えるでしょう。

 民進党は『希望の党』に合流することを両院議員総会で了承している訳ですから、方針を撤回する時間はほとんど残されていません。したがって、民進党左派を中心に離党・新党設立とすることが現実的なのです。政党として必要不可欠な “筋” を通すべきと言えるのではないでしょうか。