“現実主義” の若者世代にはマスコミが中高年に刷り込んできた “革新幻想” は存在しない

 18歳から選挙権が与えられたことで、若者世代が新たな票田として注目されています。

 ただ、既存マスコミは若い世代(10〜30代)では自民党が支持されていることに不満のようです。9日付の毎日新聞では「若者層は保守的?」と書いているのですが、若者は自民党を評価するのかを分析する必要があると言えるでしょう。

 

 総務省によると、前回参院選で10代は40歳前後の世代と同程度の46.78%が投票し、投票意欲は決して低くはない。各党とも新たな票田として注目しているが、各種の統計や専門家の分析によると、10代から30代までの比較的若い世代で政治意識が保守化していると言われる。

 

 毎日新聞の分析で誤りがあるのは「政治意識が保守化している」という部分です。

 若者が自民党を評価している理由は政治思想ではありません。彼らは「自民党が結果を出した経済政策」を評価しているのであり、「現実的な政策を打ち出す自民党」を評価しているのです。

 

1:若者層は現実主義で、経済政策を重視している

 若者層は現実主義であり、自分たちの資産を増やすことに直結する経済政策を重視していることが回答からも明らかです。

  • 自分たちは子供のころから雇用難。安倍政権で景気や雇用が改善し、わざわざ交代させる必要もないと考えているのでは(北海道・男子学生:19)
  • 私の祖父母は野党側の考えに近いが、若い世代は安保闘争のような大きな政治運動の経験がない。野党の政策はどこか理想主義的で、現実的な対応をしてくれそうな自民がよく見える(大阪・予備校生:18)

 これが現実の声です。情報経路が多様化したことで、既存メディアが自分たちにとって都合の悪い情報を隠すことができなくなりました。

 テレビや新聞から情報を得ている中高年は未だに “革新幻想” を持っていることでしょう。しかし、「共産党政権や社会主義はすべて失敗し、国全体が貧乏になった」という歴史を若い世代は学校で学んでいるのです。

 「失敗した歴史を繰り返そう」と考える若い世代が極めて限定的になるのは当然のことなのです。

 

2:「売り手市場や株高は困る」という界隈があるようだ

 毎日新聞の記事で驚きなのは松本正生・埼玉大社会調査研究センター長が発した以下のコメントでしょう。

 大企業や正社員を中心とする雇用の売り手市場や株高の現状が続いてほしいという願望が、若い世代で強いのだろう

 「売り手市場、株高」より「買い手市場、株安」の方が良いという考えを示しているからです。こうした考えは高齢者を中心に存在するものです。

 なぜなら、買い手市場であれば若者を “タダ働き” 同然の待遇でこき使うことができます。介護など民間企業間の競争が活発になっておらず、行政からの補助金に頼る傾向が強い分野ほど買い手市場になることを熱望しているという状況にあるのです。

 「 “割に合わない仕事” はしたくない」と考えるのは当然のことです。雇用が売り手市場であればそれだけ就職先に選択肢が存在する訳ですから、そうした価値観を持つのは若者世代に限ったことではないはずです。

 

3:経済成長が止まっても、自分たちの年金・社会保障は維持できるという考えは幻想である

 政権批判一色のテレビを見ず、新聞も読まない若い世代ほど反自民党に染まる傾向は薄いでしょう。民主党政権でのめちゃくちゃな経済政策によるツケを返している状況な訳ですから、自分たちが損をすることが見えている政策を支持しないことは事前な発想です。

 革新の幻想を抱き続ける高齢層は現在の安倍政権が倒れても、自分たちの年金・社会保障には手をつけられないと思っているのでしょう。

 しかし、それは幻想です。追い詰められれば、最も多くの予算が費やされているにもかかわらず、リターンがほとんど見込めない分野が真っ先に切られます。高齢者の年金・社会保障は重荷でしかないのです。

 高齢者の生活ために現役世代や若者・子供たちの生活をどこまで犠牲にできるかということでしょう。限界が近づいていますので、どのタイミングで爆発するかが注目点です。高齢層をメインターゲットにしている新聞社が経営難で合併・破綻した時が潮目と言えるのではないでしょうか。