カタルーニャ州が「スペインからの独立」を宣言するのかが今後の焦点に

 スペインからの独立を問う住民投票の結果、独立支持派が勝利したことを受け、カタルーニャ州政府の行動に注目が集まっています。

 当初は「即座に独立を宣言」と主張していたのですが、スペイン政府のなりふり構わぬ圧力の前にトーンダウン気味です。一方で、独立反対派がバルセロナでデモ活動を行ったと NHK が伝えており、今後の行方を注視する必要があると言えるでしょう。

 

 スペイン北東部のカタルーニャ州の独立をめぐり、地元州政府は住民投票を受けて今月10日、「独立の権利を得た」と宣言する一方、スペイン政府との交渉を視野に独立を数週間延期すると発表しました。

 これに対し、スペイン政府は独立宣言を行ったのであれば今月19日までに撤回するよう迫り、州の自治権の停止などの強行措置に踏み切ると警告し、双方の対立が続いています。

 こうした中、スペインの国民の祝日に当たる12日、カタルーニャ州の最大都市バルセロナでは独立に反対するデモが行われ、警察の発表で6万5000人が参加しました。

 

 内乱罪などで独立支持派を処罰できるスペイン中央政府は強気に出ています。なぜなら、スペインは1975年まで独裁政権だったからです。その名残も少なからず影響していると言えるでしょう。

 注目点は “板挟み状態” になっているカタルーニャ州政府がどういう行動に出るかという点に集約されます。

 

1:味方がいない状況での独立宣言はさすがに厳しい

 カタルーニャ州の住民投票では『独立支持派』が勝利しました。『反対派』がデモ活動していますが、これは無視して良いと言えるでしょう。

 なぜなら、『反対派』がカタルーニャ州の住民であるなら、『独立支持派』が住民投票で圧勝するような事態は起こり得ないからです。スコットランドで行われた住民投票のように、「どちらに転ぶか分からない拮抗した投票結果」になっていたと予想されるからです。

 ただ、「カタルーニャ州の住民による圧倒的な支持」だけでは独立は困難です。

 他国との外交は不可欠ですし、『カタルーニャ共和国』と友好関係を築いてくれる国を見つけなければ、独立国としての道のりは厳しいと言えるでしょう。現状では好意的な姿勢を見せる見込みがある国はロシアぐらいであり、大国からの支持を取り付けられるかが注目点と言えるはずです。

 

2:スペイン中央政府はカタルーニャ州政府を日和らせるために圧力を強めるだろう

 独立を容認しないスペイン政府が圧力をかけるのは当然のことです。ただ、民主主義を否定する形になっていますので、本来であれば、リベラルが批判すべきテーマです。

 しかし、欧州のリベラルは沈黙を貫いています。なぜなら、ほとんどの国がカタルーニャ州のように独立志向の強い地域を抱えているからです。

  • イギリス ー スコットランドなど
  • フランス ー ブルターニュ、コルシカ島など
  • ドイツ ー バイエルン州など

 コソボのケースは「EU 域外」との理由で一線を画すことができましたが、EU 加盟国であるスペインで独立がされていまうと自国内の独立問題に “飛び火” するのは時間の問題です。そのため、多くのリベラル派が口をつぐんでいる状況と言えるでしょう。

 スペイン中央政府にとっては、カタルーニャ州に肩入れする欧州の国がない状況ですから、ここで国内の独立機運を徹底的に叩き潰すということは理にかなった行動なのです。したがって、徹底的に圧力を強めるという姿勢を本格化させることになるのです。

 

 さて、今後の注目点は「カタルーニャ州政府が苦難が待ち受ける中で独立を宣言するか」という点に集約されます。スペイン中央政府が折れる見込みは限りなくゼロな訳ですから、その中でも『独立』を宣言し、行動に踏み切る勇気があるのかが問われているのです。

 「独立を宣言する勇気」と「宣言後の国政運営プラン」がカタルーニャ州政府にあるのかが注目点と言えるのではないでしょうか。