本田圭佑が所属していたミラン、アディダスとのスポンサー契約を打ち切ると発表

 昨シーズン終了まで日本代表の本田圭佑選手が所属していたイタリアの名門サッカークラブである AC ミランが「アディダス社とのユニフォームサプライヤー契約を双方合意の下、今季終了後に解消する」と発表しています。

 2023年までの契約が残っている状況での早期打ち切りですが、注目点は「アディダス社が出していた金額を上回る新規スポンサーを獲得できるのか」という点に集約されます。今シーズンは超大型補強を敢行した効果が出ているとは言えないだけに、先行きが不透明になっていると言えるでしょう。

 

1:ビッグクラブの中で「勝ち組」と「負け組」が生まれつつある

 現在のサッカー界ですが、ヨーロッパのビッグクラブが頂点に君臨しています。ただ、そのビッグクラブの中でも「勝ち組」と「負け組」が収益面から浮き彫りになり始めている状況です。

表:2018/19 シーズン以降のユニフォーム契約額(推定)
  チーム名 ブランド 年間金額
1 レアル・マドリード adidas 1億4000万ポンド
2 バルセロナ Nike 1億ポンド
3 マンチェスター・U adidas 7500万ポンド
4 バイエルン adidas 6400万ポンド
5 チェルシー Nike 6000万ポンド
6 アーセナル puma 3000万ポンド
7 リバプール NB 2500万ポンド
8 ユヴェントス adidas 2000万ポンド
9 ミラン adidas 1900万ポンド
パリ・サンジェルマン Nike 1900万ポンド

 

 イギリス系のメディアが推定したビッグクラブがユニフォームサプライヤー契約で得ている金額は上図のとおりです。トップの5クラブと6位以下のクラブの間に大きな差があることが特筆事項と言えるでしょう。

 これはマンチェスター・ユナイテッドが Nike から adidas にスポンサー変更をしたことを皮切りに、他のビッグクラブが現行のスポンサー契約が満了するタイミングで良い契約を勝ち取ったことで、大きなギャップが生まれることとなりました。

 ミランがこの流れを上手く掴めるかがこれからの注目点となるでしょう。

 

2:アディダスはスポンサー契約を締結するクラブを選別し始めている

 これまでミランと契約を締結してきたアディダス社ですが、契約するクラブを選別する傾向を強めています。

 内田篤人選手が所属していたシャルケもアディダスとの契約があったのですが、契約金の提示額で折り合わず、関係にピリオドを打っています。スポンサー料として使える予算に限りがある訳ですから、収益性の高いビッグクラブにより多くの金額を費やすことで費用対効果を高めようとしているのでしょう。

 レアル・マドリードが「世界最高のクラブ」であることはトロフィーが証明しています。また、マンチェスター・ユナイテッドは「世界で最も多くのファンを抱えるクラブ」であり、バイエルン・ミュンヘンは「アディダスが資本参加しているクラブ」です。

 これらの3クラブに加え、あと 1〜2 クラブにスポンサー契約を集約し、『リーグ屈指の強豪=アディダスのユニフォーム』というブランドイメージを構築する狙いを持っているものと思われます。

 

3:ピッチ上での成績が散々なミランは前途多難

 近年、ミランがピッチ上で残した成績は散々です。ほぼ同額のスポンサー契約を得ていると見られるユヴェントスと比較すると、アディダス側から見れば、割に合わない契約であることは明らかです。

 そのため、契約の早期打ち切りとなったのでしょう。

 ミランは「新スポンサーは数ヶ月以内に正式発表する」と述べていますが、現状より良い契約を勝ち取ることができるかは不透明です。

  • プーマ:本命。ただ、契約金はアディダスの半分程度とガゼッタ・デッロ・スポルトは報じている
  • アンダーアーマー:トッテナムのスポンサー。契約打ち切りの噂が根強く、ミランに乗り換えるかも
  • ニューバランス:リバプールやセビージャのスポンサー。可能性はゼロではない

 可能性はプーマか、アメリカに本拠地を持つスポーツメーカーでしょう。ただ、ピッチ上での成績が芳しくなく、チャンピオンズリーグから遠ざかっているクラブが良い契約を勝ち取れる見込みは低いと思われます。

 なぜなら、他のクラブから「あの “散々な状況のミラン” に大型契約を提示できるのだから、その額を上回ってもらわないと話にならない」と足元を見られることになるからです。

 

 新オーナーが就任したミランは前途多難な道のりが待ち受けていると言えるのではないでしょうか。