カタルーニャ州が独立を宣言、穏便に終息させるには「独立反対派が住民投票で勝つこと」だ

 スペイン・カタルーニャ州が現地10月27日に行われた州議会で独立を宣言しました。これに対し、スペイン政府はカタルーニャ州の自治権を停止。独立反対派がバルセロナでデモ活動を行うなど、混沌としていると NHK が伝えています。

 今後の展開次第ですが、穏便で済ませるには「スペイン政府が公認する住民投票を行い、そこで独立反対派が勝つこと」が理想と言えるでしょう。

 

 スペイン北東部のバルセロナでは29日、州議会による一方的な独立宣言に抗議する人たちが中心部に繰り出し、大規模なデモを行いました。

 (中略)

 独立問題をめぐっては、スペイン政府が、一方的な独立宣言を主導したとしてプチデモン州首相を解任するなど、直接統治に乗り出しているのに対して、プチデモン氏の地元、ジローナなどでは、市民が独立を後押ししてスペイン政府に徹底抗戦する構えを見せています。

 一方で、経済への長期的な影響を懸念する市民も多く、有力紙エルムンドが29日に伝えた最新の世論調査では、州議会で独立賛成派の政党を支持すると答えた人が42.5%、独立反対派の政党を支持する人は43.4%と、真っ二つに割れています。

 

 

1:豊かな地域が “仕送り” を強いられる状況に不満を募らせるのは当然

 バルセロナがあるカタルーニャ州はスペイン屈指の豊かな地方です。どの州でも等しく恩恵を受ける外交や国防で相応分の予算を中央政府に拠出することには理解が示されるでしょうが、“仕送り” のような形で社会インフラ用の予算を取られることには不満が募るはずです。

 自分たちが収めた税金が自分たちの生活に使われるのではなく、他の州の行政予算になっているのです。

 「 “他人の生活のために自らの財産を差し出す” という『聖人』がどれだけいるのか」という点に集約されるのです。カタルーニャ州は「割に合わない」と判断しただけの話であり、スペインという枠組みを維持したいのであれば、マドリード州が負担しても大差はない話だと言えるでしょう。

 

2:カタルーニャ州に反対派がいるなら、公式の住民投票で決着を付けるべき

 スペイン政府が満足する結果は「スペイン政府が認めた住民投票で独立反対派が勝利すること」です。

 そうすれば、「独立しないとの民意が示された」と堂々と宣言できるからです。また、次回住民投票についても一定期間は先送りにすることが可能になります。

 スコットランドがイギリスからの独立を求めて住民投票になったことと同じことを今度はスペイン政府がカタルーニャ州ですれば済むことなのです。バルセロナで独立反対のデモ活動をやった人々がカタルーニャ州の住民であるなら、住民投票を恐る心配はないでしょう。

 スペイン政府お墨付きの住民投票を行い、堂々と独立支持派の票を反対派が上回れば良い話なのです。

 

3:自治権の停止は “その場しのぎ” であり、政府がリスクを抱えるべきではない

 スペイン政府はカタルーニャ州政府を直接統治することに乗り出しましたが、これはリスクのある “その場しのぎ” の行為です。

 なぜなら、「失政はすべてスペイン中央政府によるもの」との批判を招く恐れがあるからです。州政府の運営でプチデモン前首相が率いていた時より結果を残さなければ、独立支持派を勢いづける結果になるでしょう。

 “締め付け” で生活が苦しくなっても同じことです。自治権を認める条件も事前に決めておく必要があります。

 難しい対応が求められているのはスペイン中央政府なのです。それを踏まえた上で繊細な舵取りが必要と言えるのではないでしょうか。