“立憲主義” を主張する野党やマスコミこそ、「議席数に応じた質問時間」を提言しなければならない

 「国会での質問時間の配分は議席数に応じた形に見直すべき」との声が出たことに対し、立憲民主党の枝野代表や共産党の小池晃氏など野党政治家とマスコミが「言語道断」と批判しています。

 これは批判する野党が国会での質疑時間を「自分たちが政府の重要閣僚と対等に議論している」との “パフォーマンス” に使いたいだけに過ぎません。

 また、与党の質問時間で森友や加計の “疑惑” を根底から覆す『加戸発言』が引き出されているのです。そのため、与野党の質問時間を五分五分にすることすら、批判的になっていると言えるでしょう。

 

1:「国会の質問時間は議席数に応じる」との法的根拠は存在する

 「立憲主義」や「真の保守勢力」と主張する立憲民主党・枝野代表の「質問時間の見直しは論外」との発言こそ、暴論と言えるでしょう。感情論になっており、論理的根拠が何1つ提示されていないからです。

 野党やマスコミが根拠を提示しないのは当然です。なぜなら、議席数に応じて質問時間を配分するとの根拠が存在するからです。

  • 衆議院規則第百二十五条:会議において発言しようとする者は、予め参事に通告することを要する。但し、やむを得ないときは、この限りでない。
  • 衆議院先例集第268号:質疑又は討論の発言者数及びその順位は、議院運営委員会において各会派の所属議員数の比率及びその大小により定めている。
  • 衆議院先例集第270号:議院運営委員会において発言時間を申し合わせている。

 

 衆院規則第125条と先例から、「議席数に応じて配分する」との原則が存在するのです。現状は、与党から野党に発言時間が譲渡されているに過ぎません。

 謙虚になる必要があるのは、与党から質問時間を融通してもらっている野党なのです。

 

2:野党やマスコミによる「与党は党内で議論できる」という暴論

 質問時間の配分見直しについて、野党やマスコミは「与党系の議員は党内で提案前の法案についての議論ができる」と主張しています。

 なぜ、政府や一部の政党が原則非公式で行っている政策や法案のすり合わせで与党系の議員は我慢しなければならないのでしょうか

 この発言こそ、議会制民主主義を冒涜する発言と言えるでしょう。なぜなら、与党内にも様々な意見があり、党が下した決断にすべての議員が納得しているとは考えづらいからです。

 政府や党の考えとは異なる意見を持っているなら、「国会質疑で問い正したい」と考える与党系の議員は多いはずです。なぜなら、彼らは自分に投票した有権者に「自分が掲げた政策を変更した論理的な理由」を説明できなければ、次回の選挙で落ちることになるからです。

 つまり、与党内には野党議員よりも質問したい理由を持った議員が少なからず存在しているのです。“1票の格差” を問題視するのですから、“代議士の質問時間の格差” も問題視しなければなりません。

 議題とは無関係の “疑惑” を持ち上げ、国会を『疑惑の取り調べを行うパフォーマンスの場』とした野党に従来通りの質問時間を配分する必要性はないのです。

 

3:首相や主要閣僚の国会出席義務を他の先進国並みに引き下げ、副大臣や政務官を対象とした政策質疑を行うべき

 なぜ、野党やマスコミが『質問時間』に固執するのかと言うと、「日本では首相や閣僚が議会に出席する義務を負っているから」です。

 つまり、『非常に立派な肩書きを持つ大物政治家と対等に議論している絵』が作りやすく、活動アピールになりやすいというメリットがあるからです。また、失言狙いで辞任に追い込めば、実績にもなるため、政策議論をそっちのけで “言いがかり” を付ける活動家が国会内に跋扈する要因になっているのです。

 日本では首相が国会に出席した日数は年間で100日を超えています。しかし、同じ議院内閣制を持つイギリスやドイツは50日も満たない日数なのです。

 首相を含めた主要閣僚は国会での答弁以外にも外国訪問や国際会議など重要な公務を数多く抱えています。国会で政策質疑を行うのであれば、副大臣に対して実施すれば済むことです。もし、副大臣がトンチンカンな答弁をしたのであれば、大臣を国会で追求すれば済むからです。

 要するに、野党が欲しいのは『政策論議をする時間』ではなく、『重要閣僚を批判するためのパフォーマンス時間』なのです。態度を改め、謙虚になる必要があるのは与党ではなく野党だと言えるのではないでしょうか。